☆『桜を愛でれば風が吹く。』古川暁


1 作品タイトル************

(尾崎ゆうじの)

『5分読書コン短編の期待できる度を評価してみた!』


 評価シート


************


作者さんへ……このたびは企画にご参加いただきありがとうございます。

読者さんへ……本ページにお越しいただきありがとうございます。

      この作品良さそう、と思ったら作者さん並びに尾崎のフォローをお願い致します。



1 作品タイトル『桜を愛でれば風が吹く。』

作者名:古川暁 

 作品リンクhttps://kakuyomu.jp/works/1177354054922207957

────────────────

2 本作のキャッチコピーとあらすじ引用(抜粋)

 

(キャッチコピー引用)

許されるのなら、何度でも。僕は貴女に恋をする。


(あらすじ引用)

もう一度貴女に恋をしたかった。


もう一度だけ…。僕も好きだなんて言ったらなんて言いますか?


彼女が僕を好きな事は知っている。

僕も彼女が好きな事ぐらい知ってる。

それでも嘘をついた。

嘘をつかせて欲しい。

だから、日記なんて書くもんじゃない。


(以上、引用でした)

────────────────

 

3 尾崎が作品を読んだ日: 


 2020年 11月 12日 



4 各項目の評価・採点(各最高15ポイント(⑦のみ10ポイント)):


(↓評価モードや事前情報)


 モードはノーマル、テーマは「恋愛」ですね。作者さんご本人が『拙い』とおっしゃっていたとおりで、大変言いづらいけれど、なかなか読みにくかったです。だけど描写が詩的で、もうニュアンスで読めるような、そんな作品でした。これが感受性というやつか……と、驚きました。



※評価モード・採点基準について知りたい方はこちら

https://kakuyomu.jp/my/works/1177354054914254604/episodes/1177354054935296760


────────────────


①[タイトルやあらすじなど……9pt/15pt]


(↓ひと言)


 タイトル良いですね。なんかロマンチックというか、情緒があるというか。綺麗です。


 本文を読んだ後なのでキャッチの意味もわかりますし、良いと思うんですけど……汚い大人目線だと、なんか粘着質な男性の物語のように読めるかも。いや、実際に彼女に執着しているといえば、そう言えるのかもしれないけど、もう少し物語の情報開示によって、読者の気を引いてもいいんじゃないかなと思いました。


 あらすじもですね。病気のこととか、記憶のこととか、2人のもともとの関係とか。日記に結び付く情報がいまのところ全然なくて、唐突な感じがしました。


 良い雰囲気なんですけどね……。



②[掴み……12pt/15pt]


(↓ひと言)

 

 鎖の話とか、すごくよくわかるし、何となく納得できる感じが素晴らしい。


 『****』までの部分は、あくまで『なんとなく読者に理解してもらって、その言葉の意味が何なのかを以降の文章で探ってほしい』という始め方なわけですね。どういう物語になるのかなと、興味が湧きました。


 とはいえ、言葉の意味がわからないと同時に、何を伝えたいのかよくわからない箇所もところどころに見られて、解釈がしづらいです。


 最初の箇所で例を挙げるなら『本当は、僕はなんて答えたらいい?』という主人公のモノローグですね。彼女の場合は返事ができるけど、彼は何に対して『なんて答えたら』とたずねているのかが不明でした。


 あとは病気からの展開、すごく良いですね。



③[文章……7pt/15pt]


(↓ひと言)


 作者さんのおっしゃる通り、文章的にどう読み、どう判断してよいか、すごく悩ませられました。どこまで読者として想像すべきなのか、あるいは脳内変換すべきなのか、それをもって評価が当然変わってくるので、とても頭を悩ませています。


 とはいえ全体的にポエミーな感じで、ひとつひとつの表現が綺麗だし、心理描写の迫ってくる雰囲気も良い。読みにくいながらに、ニュアンスで感じるまま読んでもいいかな、という気持ちになってくるのがすごい。


 読者をもっと意識してもらえるとありがたいなあと思いました。あと『隠し桜』って『桜隠し』と同義ですか。どっちなんでしょう。                                                       



④[ストーリー……14pt/15pt]


(↓ひと言)


 ストーリーの構成は、すごく考えられているなと感じました。流れはこのままでまったく問題ないと思います。主人公と彼女(千桜)の置かれた状況から日記、そして──という展開は、きちんと刺さる構成だと感じます。素晴らしいです。


 とはいえ、設定自体が複雑な書き方にならざるを得ないので、気をつけて。彼女には記憶がないし、時系列も大きく動きながらの展開で、短編にしては登場人物も多め。なので、読者が混乱しないように、優しく案内してあげつつ、隠したいものは明確に『隠してるよーー』とわかるように書いてくれると親切かなと思いました。


 だけど表現の仕方の問題なので、もしピンとこなければ、そのまま突っ走るといいでしょう。


 あと、最後の方で千桜のが登場するのだけど、どういうつもりで書いたのか、純粋に気になります。だって、そうでしょ……? 普通に考えたら怖いですよ。要フォローです。



⑤[キャラクター……12pt/15pt]


(↓ひと言)


 主人公と千桜、どちらも共感できますね。良いキャラです。


 人物がけっこう多めに登場するので、ごちゃごちゃにならないよう注意が必要です。特に『お父さん』は、どっちがどっちのお父さんなのかわからなくなる部分があるので、一度確かめてもらえるといいかな。どっちも登場する理由がよくわからないです。千桜の父だけでもいいような……?


 あとは、前述のとおり、彼女のお母さんのことですね。


 おそらく、脇役たちの存在について、まだつかみ切れていないところがあるんじゃないかなと思いますが、どうでしょうか。



⑥[オリジナリティ、本作特有の魅力など……14pt/15pt]


(↓ひと言)


 ストーリーとしては合わせ技という感じで、なかなかユニークですね。難病と記憶喪失を兼ね備えることが物語の展開に上手く生きています。考えて(?)ますね。感覚なのかな。どうだろ。


 だけどそれよりも本作の魅力は、表現と描写ですね。(広義だと全部表現だけど)


 なんか、状況は不確かだけれど、世界と主人公の心の中の描写がすさまじくて、なんとなく刺さるんですよね。これでしっかり細かいところも網羅できたら、きっとすごいことになるんだろうなあと思います。


 それと、日記の内容もオリジナリティにあふれていますね。一つひとつに意味があるのか、あるいはないのか……どこまで意図してそうなったのかはわかりませんが、とりあえず素敵でした。1冊目の最後の『』『』の部分の意図がよくわからなかったので、隠しているなら、明確に隠してますよ、という感じにしてもらえると良いのかな。『────』とか



⑦[コンテスト・マッチ……9pt/10pt]


(↓ひと言)


 一応、マッチしていると思いますよ。絶対の自信はありませんが、おそらくは。ただの付け足しでなくて、ストーリーと絡んでるので、問題ないかと思いますけど。



────────────────

[おさらい]

・タイトルやあらすじなど……9pt

・掴み……12pt

・文章……7pt

・ストーリー……14pt

・キャラクター……12pt

・オリジナリティ、本作特有の魅力など……14pt

・コンテスト・マッチ……9pt



5 総合得点は──


(77)pt! 期待できる度──「もう少し?(縁起いい)」


【最後にひと言】


(良かった点)

 

 前述のとおりです。


 こういうタイプの作品はあこがれます。理詰めだけではちょっと書けない気がする。作者さんが狙って書いたのならば、それはそれで大変なことですね。



(指摘・提案・もっと良くなる?)


 特に時系列について注意してほしいです。回想や日記によって過去と今を行ったり来たりすることになるので、けっこう混乱しちゃいます。少なくとも、現在が何年の何月なのかは、わかりやすく紹介してほしいです。書いてるじゃん、と思われるかもしれませんが、前後の文脈を踏まえると不確かで、「そもそも今って春、なの?」みたいな、不安があります。『去年のことを書いた日記のようだ』とか、そんな一言があってもいいですね。


 とはいえ、すごい表現力だなーと感じました。


 おそらくいずれ成長して学びを深めたころには、逆にいま書いたこの作品のような表現ができなくなっている可能性もあります。はさみをはさみと分からず口にいれようとする赤ちゃんみたいな感じで、思ったまま余計なブレーキなしで表現できているというか……。


 将来読み返すと驚くと思うので、本作をリライトするかどうかは不明ですが、その前に原文まま取っておくことをお勧めします。きっと将来、自分でも「すげえな…」と感じる部分があるはず。



6 読者のみなさまへ:


 → 細かいことは気にせずに、ニュアンスで。


 以上、最後まで目を通していただきありがとうございます!

 気になった方は、ぜひ↓のリンクからこの作品を読んでみてくださいね!

https://kakuyomu.jp/works/1177354054922207957


 では、次の作品紹介をお楽しみに! 

 


創作コーチ


尾崎ゆうじ

(note) https://note.com/ozaki_yuji


(youtube) https://www.youtube.com/channel/UCu54sC6pviWQUC1eA6dqDKg/featured?view_as=subscriber 

 ※初級者向けの『ゼロから講座』は、主にyoutubeとカクヨムにて実施しています!


https://stand.fm/channels/5f810a3bf04555115d146941 

 ※初~中級者向け。企画で語りきれなかったコメントの深掘り発信を音声で『気になるどーラジオ』

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る