おまけ 勝手に特別フル読み評価してみた(3作品)
!!特別フル読み その①!!
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第1回気になるどープロジェクト特別編──フル読みバージョン──
作者さんおよび読者さん、こんにちは。尾崎ゆうじと申します。
第1回気になるどープロジェクト完遂を記念し、勝手にオマケ企画として、『第1回の作品の中で個人的に気になった作品をピックアップし、勝手にフル読みして感想を正直に述べる』ということをやっちゃいます。
(注)……フル読みとは、キリの良い部分か、あるいは気になり続ける限り読むことを指します。公開されている全話を通読することを確約するものではなく、途中で続きが気にならなくなったらそこで中断する場合もあります。
今回は3作品を選びました。
頼んでねーよ、という作者さんは、すみませんが当ページコメントか近況ノートにある連絡ノートにてお知らせください。
では、今回フル読みに選ばれた作品は(1作目)は、こちらです!
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1 作品タイトル『Sno ≠ WhITe ―スノウホワイト』
作者名:結月K
2 作品のリンクはこちら↓
https://kakuyomu.jp/works/1177354054892028415
3 尾崎が作品を最初に読んだ日:
2020年 7月 18日 → フル読み 8月 3日~4日
4 メモ(感じたこと、作品内容など):
① フル読みに選んだ理由は、何と言っても『続きが気になるどー』の時点での最高得点でしたし、描写のことですこし注文を出したりしたものの、きちんと構成されている感じがうかがえて安心して読めたので、じゃあそのまま読み進めたらどうなるのかなと気になってました。
タイトルこそぱっと見で「?」とスルーしてしまいそうですが、その文章力や演出、丁寧に読者へ説明しつつストーリーを進めていく緊迫感が凄まじい。前半1、2話だけでも並じゃない匂いがぷんぷん漂っており、そこらへんのプロのラノベ系作家よりレベルが高そうだと思いました。
というわけで、本日ようやく投稿されているすべて(episode14)を読破しました。2日かけて、おそらくトータルで7~8時間かけて、私なりに念入りに熟読しました。疲れた~。
では、フルに読んだあとでの感想と、読者のみなさんに対する『総合おすすめ度』を発表したいと思います。
② (良い点)
(1)舞台の描写が素晴らしいのと、前半の主人公とヒロインの心の動きというか、そういった心理描写も自然でうまい。
キャラクターの行動に不自然な点がほぼ無く、安心して読んでいられるし、心の底から「上手いな」と舌を巻きました。
特に素晴らしいのは、『第1回気になるどー』の評価の際にも書きましたが、episode1で氷の世界にて目覚めた主人公の灯弥が、錯乱しながら自分の置かれた状況を確かめ、そのまま次の展開に向かうまでの一連の流れですね。めちゃくちゃ上手いです。
灯弥と少女が心の距離を縮めていくところなども、「そうやって書くのかぁ」と感心しました(これは読者目線ではないかもですね)。
(2)絶望的状況の連続
ダークファンタジーならではのバイオレンスアクションシーンから、主人公の身に降りかかる状況に常にひやひやしました(episode7までですね。その次からは別パートになります)。
特に何と言っても魅力的なのが、敵役の凍雪殻(これで『スノウホワイト』と読みます)である『ヘッドポッパー』と呼ばれている女の子。彼女は純粋に自身が生きるために人間の首を切り飛ばしていくという設定の存在ですが、好戦的で、めちゃくちゃ強く、でかい中華包丁を手に狂喜乱舞します。
武器のチョイスも良いですね。人間にとっての脅威でしかない彼女が舞台に立つたび、場の緊張感がずんと生まれる。死人がどんどん出ます。
この子との共存は無理だな……と、本作を読めばすぐに悟るでしょう。
しかしながら人間側に打破されてしまうのも寂しい。そんな存在です。
(3)舞台設定の緻密さ
ファンタジーはいかに舞台設定を紹介しながら読者にストーリーを読ませるかがカギであり、それはかなり神経を使うところです。かく言う私もうまくできませんし、今回の企画を通して、いかに多くの方がその壁に行く手を阻まれているかがよくわかりました。
ところが本作では設定自体も良く練られているうえ、さらに紹介するタイミングも読者が必要とするちょうどいいところにちょうどよいサイズ感のものを提示してくれるので、設定説明が「設定説明を読まされている」という印象にならない。
「え、その用語なに?」という疑問が湧く箇所もあるのですが、その時に説明すべき用語かどうかを、作者さんがきちんと取捨選択しているのが先の段階でわかるので、信頼関係が出来上がり、安心してスルーできます。
(4)アクション
のちに女性キャラが登場し、日本刀でばっさばっさとスノウホワイトをぶった切るのですが、そのアクションシーンがかっこいい。ヘッドポッパーのアクションも魅力的なのですが、今のところ一方的な戦いしかないので、そちらが際立っていました。
まじかっけっす。
③ (全体を通して気になる点)
(1)過度な描写
描写、上手いんですけど、結構過度になっている箇所が多い。別に間違っているわけではないし、作者さんの個性といえば個性ですし、くだけすぎても世界観には合わないんですけどね。やはりとても読みづらいし、それが作品のストーリー進行を阻害するだけでなく、シーンを想像し辛くする箇所もしばしば見受けられました。
特に、あるキャラが吐き気をもよおしてトイレに行くシーンがあるんですけど……その場所を示す描写にその必要性がいまいち感じられくて、脳に対する負荷が高かった。
ただの情報番組にもの凄い高解像度のカメラを使用している感じ。データの容量が重すぎて視聴するといちいち微妙なラグが発生したり、時々止まったり、ピントがぼやけたり。目と頭が疲れてきます。
特にepisode3~7のあたりでは「面白いのは面白いんだけど、だんだん億劫になってきたな……」と感じることが多々ありましたね……。1話1話がおおむね7000字以上で文量が多いこともあり、ストーリーのシリアスな重みも相まって、ぐったりしました。
(2)episode7まで、具体的な目的がない。
上記で感じた「億劫」と同時に、「別にこの辺で読むのをやめてもいいかなあ」と感じたところがありまして、具体的にはepisode6~7のあたりになります。「企画で読むって言ったし、本当に面白いのか確かめたい!」という意志がなければ、無理せず他のことに時間を使ったでしょう。
なぜそう感じたのか私なりに考えてみたのですが、おそらくそれが表記にあるとおり『強い目的』の欠如だという結論に至りました。
Episode6で、ある重大な事実が発覚するのですが、それによって一気に興味が減衰していきました。なかなか考えられた展開ではあるのですが、その意味するところを考えると、そこでもう一息ついて安心してしまうというか、作品に漂っていた危うさが薄れるんです。
そんな緊張感が無くなっている状態で、主人公と少女がその事実を受け入れていく過程を描いていくシーンが続いていくのですが、「だったら、ここで完結しちゃってもいいんじゃない?」という気持ちになってくるんですよね。これからどうなるんだろう(ひやひや)という感情が無くなると、読み進めようという力が失われちゃうなと感じました。
episode8(第2部? 第2章?)に入ってからは別の展開がスタートし、こちらは明確に目的が提示されてわかりやすい構造になっているので良いのですが、そこ(episode7の終盤)に至るまでの過程がしんどい。
以上のことから、前半のうちに主人公が『家族の生存を確かめたい』というような目的意識を持っていると良いのかなあと思うんですよね。そうでないと私のような怠惰な読者は「もう他の人間なんて無理して探す必要なくね?」という合理的な結論を早々に出してしまうので。
ちょっと参考までに、お伝えいたしました。
あと、それとは別に、作者さんへのちまちました指摘や改善提案をば。読者のみなさんは『5』の採点まで飛ばして結構です。
・episode3 ヒロインのランプについて描写があるのですが、どういう物で、現在どこに置いてある物なのかがよくわからなくて、混乱しました。イメージが湧かなくて、保留してずっと待っていた感じです。ここの描写はもう少し親切で良かったのではないかなと思います。
・あと最初に蠅が登場するシーンですが、どうも落下して近づくまで、その大きさが全然イメージできなかったです。最初は上空を飛んでいるヘリコプターかと思っていました。攻撃してくるということなので、なおさらそう感じました。で、後で『サッカーボール大』ということがわかり、灯弥の目視に突っ込みを入れた印象があります。一応、参考までに。
・2107年というのが、どのタイミングの年なのかがわからないというか、灯弥たちの過ごす年代との関係性が不明で、ふわふわしてる感じのまま読んでました。灯弥たちが過ごしている年代も、2107年ですか? それとも狙いですか?
・あと根本的な話ですが……温暖化によって冬が無くなったという設定は理解できるんですけど、最初の凍結前の舞台は秋とか、気温の低めの日に設定した方がいいのかなと思うんですよね……。
なぜかというと灯弥の服装の問題ですね。Episode5までずっと私は心の中で「おい灯弥」と突っ込み続けているはめになり、「どうして服装のことをちゃんとしないのだろう……」と苦々しく思っていた次第です。その結果、肝心のepisode5にきて、灯弥の心理描写がどことなくしらじらしいなと感じたというか、私の驚きも半減したので……どうせならもっと効果的にしてほしかったなと感じました。
私が雪国で生まれ育ったからかもしれませんが、ずっと「絶対無理、絶対無理だから」と灯弥に対して言い聞かせている自分がいました。映像化を考えたらもっとヤバいですよね。というわけで、そう感じる読者もいるのだと、念頭に置いていただければ幸いです。
では勝手に採点させていただきます。
5 この作品の総合おすすめ度は……
…
……
…………
【90%】です!
すごく魅力的で、ハイレベルな作品でした。フル読みしても当初の印象は変わらず、素晴らしい。ネックとなるのはやはり全体的な描写の重さと、まだまだ未完だということですね。現在は物語全体の半分に到達したかどうか、というくらいでしょう。文庫本1冊分くらいは文量があるのですが、まだ山場には到達しなそう。
作者さん本人も仰ってましたが、更新速度はかなり遅めのようで……結果的にどうまとまるのか、『世界の正しい形』というものがどんなもので、いつ見えてくるのか、気長に待つしかなさそうです。
6 読者のみなさまへ:
→ おすすめです! 一気読みには向かない作品ですので、ゆったり他の作品と並行して読みながら、次の更新がまだまだ先だ、という前提で読み進めていくとよいでしょう。
以上、最後まで目を通していただきありがとうございます!
気になった方は、ぜひこの作品を読んでみてくださいね!(リンクです↓)
https://kakuyomu.jp/works/1177354054892028415
では、次の作品紹介をお楽しみに!
尾崎ゆうじでした!
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