俺だけ魔力が無い代わりに全く世界感の違う力があるのは何故

フラット

プロローグ

2209年、人類はエネルギー問題解決の過程で、奇跡的に魔力の存在を証明することに成功した。そして、それは人間の体内にも存在する事が確認された。


人間はそれを自身の力だけで自由自在に使用することは不可能である。しかし、魔力を保有していて、それらを特殊な機械を通じて使用することで、任意の事象を具現化することが出来る。人はそれを魔術と呼んでいる。


特に魔術に秀でたものは、国指定の専用施設で魔術の訓練が行われるようになった。

しかし、まだまだ謎の多い魔力、そして魔術というもの。現時点ではまだエネルギー問題の根本的な解決には至っていない。実際開発された物は、魔力で動く一部の家電のみであり、発電そのものに魔力を代用するには至っていない。


さらに、魔力の存在が明らかになったことによって大きな事件から小さい事件、様々な犯罪等が発生し、実際多くの被害が報告された。


それから16年


政府は未成年のうちに正しい魔術の使い方を学ぶため、学校のカリキュラムの中に魔術の授業を義務づけ、今ではどの学校でも魔術の授業は見られるようになり、それが国民らにも完全に定着した。つまり俺たちは勉強の傍ら、魔術についても学ぶようになっていったのだ。


そんな中、1人だけイレギュラーな高校生が1人。


「おい見ろよ! あいつが魔力を全く持たない落ちこぼれだぜ!」


「人間にはみんな大小あれど魔力を持ってるはずなのに……ひょっとして人間じゃないんじゃない笑」


「マジかよ、アイツ人じゃねぇ〜のかよ‪w」


(はぁ〜今日もか)


この俺 神無月 冬也には、魔力と呼ばれているものがない。正確に言えば、機械が確認出来なかったということなんだが、別に俺の魔力量が多すぎるから計測できないとかではない。


(そうだったらどれ程良かったか……)


別に魔力がないから生活できないなんて事はない。何故なら、最近になってようやく魔力が全国民たちの中で普及したばかりで、電気で動くものが未だ大半を占めているからだ。

理由は専門家ではないから詳しくは知らないが、魔力は電気とは異なり何かにストックしておくのが現段階では不可能であるかららしい。要は魔力で動く電化製品を作っても、それは必ず自分達が魔力を消費して動かさなければならず、その人の魔力が動かす分に足りていない場合全く使えないからだ。労力は雲泥の差ではあるが、極論人力で電力を作っているのと変わらず


しかし、魔力が無いというのは、現代では周りからは異質な者のように見られる。魔力を全く持たない人間は、俺も自分以外に知らない。日本で最も魔力の研究が進んでいるところで同じく計測されたが、結局発見されなかった。


理由についても、『分からない』との事。


事例が俺を除いてないのだから、それは仕方のないこと。


「でも、だとしたら……」



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る