伍 天宝伏妖録(邦題 天宝伝説 2020年7月~)

 こちらはbilibili動画配信のフルCGアニメ。


 魔道祖師と同一作者の原作で、9月からテンセントで始まる「穿書自救指南」が、フルCGなので、後学のために、何か見てみようと思い、たまたまこの作品に行き当たった。


 唐の玄宗と楊貴妃の時代を舞台にしたファンタジー。

 主人公の孔鴻俊は、孔雀明王、孔宣と人との間に生まれた少年だ。妖怪にも二通り、人間を助ける者と、害を為すものがある。何者かに殺された鴻俊の父は前者であった。


 両親が不慮の死を遂げた後、雲より高い太行山の山頂に座す曜金宮の三主、元妖王鳳凰の重明と、同じく三主の一人である、大鵬の青雄に育てられた。ある日、出自を知り、三つの役目を果たすため、長安に赴く。


 鴻俊は、駆魔司(妖怪退治機関だが長年放置されていた閑職の模様)の一員となり、上官の李景瓏や仲間の莫日根、阿泰、裘永思、お供の趙子龍(魚に似た妖怪)たちと共に都にはびこる妖魔に挑んでいく。どうやら強大な魔物が宮中に潜んでいるらしく、一筋縄では行かない。

 ストーリーはシリアスに寄り過ぎず、コミカルなシーンも入るので、思わず笑い出してしまうこともしばしば。


 主要登場人物たちの造形は、美丈夫、美男子揃いだ。CGキャラクターは初めのうちこそ慣れなかったが、回を重ねるごとに馴染んで来た。

 天真爛漫な鴻俊、洞察力と武芸に優れ、とてもカッコいい男なのだけれど、どこか抜けている李景瓏、クールな莫日根、時としてテンションが上がり過ぎる、陽気な胡人阿泰、落ち着いた文人風の裘永思。メンバー達は、何かしら修練を積んだ者たち(いわゆる仙侠か)で、それぞれ、剣、飛刀、扇、弓、筆(?)などの武器で戦う。

 皆、中々の強者揃いで、一見、華奢に見える、主人公の鴻俊も、身の軽さと並々ならぬ戦闘力を示す。ただ、長である李景瓏は、武芸に優れてはいるが、霊力を持たない為、ややコンプレックスを持っている模様。

 根本的に大らかな連中なので、普段の和気あいあいとした様は、微笑ましい(願わくば、この状態が続きますように。中国ものは油断できない)


 この作品、グラフィックがとにかく美しい。鴻俊の育った曜金宮は、もとより、自然描写、街並み、建物、調度品などなどが、優美に細かく作り込まれている。

 中華ものに限らず、ファンタジー系のイラストや小説を書く人には、一見の価値あり。


 主題歌「天地為念」を歌うのは、周深さん。繊細で情感に溢れる美しい歌声で、中国において知らぬものはない有名歌手である。この方が歌うと音楽の美しさが増幅される気がする。ゆったりとした低めのストリングスで始まるこの曲も心地よく美しい。


 youtubeのbilibili公式チャンネル→ジオブロックのため、一部クリップ以外視聴不可。


2021年6月30日よりNetflixにて配信開始予定。邦題「天宝伝説」


2022年8月12日よりCSホームドラマチャンネルにて「天宝伏妖録」1,2季を放映


2023年アマゾンプライムのアニメタイムズにて配信中


2021年6月15日一部修正

2022年7月4日加筆


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