後輩が何考えてるのか分からない

ふぅ〜

なんとか学校には間に合った。俺は今までの人生の中ここまで全速力を出して走った事はなかった。だがさすがに登校初日に遅刻するのは避けなければ行けない。俺は自分のクラスが書いてある貼り紙をみて書かれている教室に向かった。教室に入り自分の席に座ると...


「初日から遅かったな和樹なんかあったのか?」


ある男子生徒から喋りかけられた


「あ、あぁちょっとな」


まぁ知り合いなんだけど...こいつは広瀬大智

高校で唯一の友達、いや親友だ。高校の入学してすぐに大智とは気があってそれからずっと仲良くしている。去年も同じクラスだったのにまさか今年もとは、すごい運だな。まぁ俺的には知り合いがいてくれて嬉しいんだが。


「そろそろ始業式が始まるから体育館に行かないとな」


「あぁそうだな」


クラスの人達も徐々に体育館に向かっている。俺達もそれに続くようにして体育館に向かった。

2年全員が集まってから数分してから始業式が始まった。その後は何事もなく無事に始業式が終わり

ぞろぞろと教室に戻っていく。今日はこれで学校は終わりだ。


「和樹帰りどっかよってくか?」


大智から遊びに誘われたが今日はそれどころじゃないのだ


「ごめん今日はやめとく」


「そうかじゃあまた明日な」


「あぁまた明日」


俺はそう言うと足早に家に向かった。家に帰ったら琴音の事問い詰めてやるからな...だがなんであいつは今日始業式って事を知ってたんだ...俺の歩くスピードが徐々に落ちていく。まさかあいつ!

俺は朝と同じように全速力で家に向かった。俺は1つ予想が着いた。しかもその予想はたぶんあっている。家に着き急いで中に入ると...


「お帰りなさいませ!あ・な・た♡」


そう言って玄関で琴音が待っていた。

だが俺はそんな事を気にせずさっき考えた事を琴音に聞いた。


「お、おい琴音もしかしてお前が入学した高校って.....」


そう聞くとニヤリとして、してやったぞ!というような顔をした。


「はい!もちろん先輩と一緒のとこですよ!」


はぁ、終わった。俺の平穏な高校生活が終わりを告げた。


「でも琴音確か推薦もらったとこ行くって言ってたよな...」


琴音はテニスの推薦を貰っていた。全国に行くほどの実力者だったのにどうして...


「え?そんなの最初っから行く気なかったけど先輩を驚かすために嘘ついてたんですよ!」


どうしてそこまでするんだ.....


「テ、テニスはどうした?」


恐る恐る聞くと


「え?そんなの先輩の気を引くためにやってただけなので辞めましたけど」


なにこの子...何気に凄いこと言ってるんですけど...俺の気を引くためっていつ俺がテニスやってる女子が好きって言ったんだよ...


「よくそれで全国行ったな」


「惚れましたか!?でしたら今すぐにでも結婚しましょ!」


「惚れてないし結婚もしない。」


ほんとに何言ってるのこの子。ちょっと怖くなってきたんだけど、そもそも結婚って...


「どうしてこんなに一途な女の子が目の前にいるのに惚れないんですか〜」


少し怒りと呆れたようなトーンが混ざった声で俺に聞いてきた。


「いや、俺琴音に気に入られるようなことしてないし」


俺は本当に何もしていない。ドラマのような運命的な事が起きた訳でもない。


「それより琴音朝どうして俺の家に来たんだ?」


忘れていたが1番気になる所だ


「え〜とそれは高校生になったから?」


「なんで疑問形なんだよ!しかも理由になってない!」


なんで高校生になったからやっていいと思ったんだ...本当になんで琴音は頭がいいんだろうか...


「で?本当の理由は」


絶対にこいつには裏がある。それは俺が一番よく知っている。


「くっ、さすが先輩しょうがないから本当の理由を教えてあげますよ」


なんでお前が偉そうなんだよ。ここは俺の家だし立場的に琴音は不法侵入者だと言うのに...


「それは私がただただ私が先輩の寝顔が見たかったからですよ♡」


凄く顔を赤くさせて頬っぺに手を当てながらそう言った。やばい、この子本当にやばい!どこで道を間違えてしまったのだろうか...黙っていれば美少女なのに、もったいないやつだ。


「本当にそれだけか?」


「はい!それだけです!」


「鍵がかかっていなかったのは?」


「それは先輩がただ単に忘れてただけです!」


あぁ俺がちゃんと鍵をかけていれば今頃こんな事には...いや遅かれ早かれ時期にこうなっていたな...


「今回は俺の寝顔の写真を消すだけで許してやろう」


「それだけは、それだけは〜」


目にうっすらと涙を浮かばせながら俺に辞めてとせがんでくるがそんな事は知ったこっちゃない。

写真を消すだけで許すなんて普通じゃありえないんだぞ?多分だけど...俺は強引に琴音からスマホを奪い取ると.....


「おい、琴音これは?」


「てへっ☆」


琴音は舌を少しだしあざとく笑顔を作った。琴音のスマホのホーム画面が俺の中学時代の制服を着た写真になっていた。もちろん俺はこんな写真撮ってもらったこともない。

さては盗撮...え?怖くなってきた。


「はい。これも消去な」


俺は写真を消すために写真フォルダーを開けようとすると


「おっとー!!!私が消します!私が消すので先輩は見ないでください!」


凄く顔を真っ赤にしながら琴音はスマホをぶんどって俺の寝顔が写っている写真を俺の目の前で消した。恥ずかしくなるのも無理はない。女子が自分の写真フォルダー見られるのなんてやだよな、しかも男子に、いや誰だってそうか...


「悪い勝手に見ようとして」


俺が謝ると


「い、いいですよ!あはは」


すんなりと許してくれた。もっと怒ってもいいはずだけど。


「あ、そういえば先輩!冷蔵庫に何も無かったので買い物に行きますよ!」


強引に話を変えてきたな、でも食べ物がないのは確かだ。いつもコンビニ弁当なので食材なんてそもそも買ってないんだけどな...でもそんな事を琴音の前で言うと.....


「よし行くか」


そう言って俺は鞄を下ろしてドアを開けた。


「これってお買い物デートですよね!」


「ただの買い物だ」


「うっ、なかなか冷たいですね先輩、まぁそんな所もいいですね♡」


脳内お花畑なのかな?っていうかそもそもなんでデートだと思ったんだ?自分で買い物って言ってただろうに。そんな会話をしながら俺と琴音はスーパーに向かって歩き始めた。

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