第二話
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運送業の花形と問われれば、人々の多くはドライバーであると答えるだろう。
早朝からトラックのコンテナいっぱいに荷物を詰め込み、下道に高速移動を自在に駆け、夜中まで荷卸しをする姿は象徴的な光景であると言える。
拘束時間は長く、仕事はキツイ、その上給料もそんなに高くない。会社によっては不当な残業もと、決していいことづくめではないが、運転さえできれば学歴は要らないし、己の腕一本で稼げるというのは人間に自信を与えてくれる。大型トラックを運転できるようになれれば、あの圧倒的なパワーを発揮できる機械を操り、一体化出来る充実感を味わえるのである。
これが惑星間ともなれば、運転するのは陸を走るトラックに留まらない。最新技術の申し子である宇宙船を誰よりも長い時間操縦し、核融合エンジンの加速にワープ移動で普段見られない景色である亜空間を体験できる。西暦二五八八年、運送業の、星間ドライバーの仕事はカンパニーガバメントが惑星開発と秩序を構築する時代において人気の職業であり、この事態を早くから予測していたサマートランスポートは銀河の一大企業として成長していた。
しかしながら会社と言うのは花形の彼らだけでは成立しない。荷物を預かる営業所の窓口職員に、集荷した荷物から最適な配送ルートや時間とを調整するオペレーター、宇宙港や宇宙船を整備する技師たちは目立たないかもしれないが、ドライバーのため、会社のため、お客様のためにプライドを持って仕事に励んでいる。
壊し屋と不名誉なあだ名をつけられてしまっているウェンズデイとジウの二人組・レッキングシスターズ。社長であるメイファンより先の失敗で内勤への配置換えを命じられた二人であるが、果たして彼女たちはその職務を全うできるのだろうか。
こちらサマートランスポート・レッキングシスターズ(旧版) 蒼樹エリオ @erio_aoki
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