生きてて楽しい?楽しくないよね。

もはや命題として存在する生きてて楽しい論。楽しくないのは自明で後で見直してみて楽しかったのかなと思えればいいなくらいなものである。私は人生楽しくないけど面白くする努力はしてる。例えばそう、こうしてエッセイなんか書き始めた。本を書き始めたら人生終わり。と思っていたけれどこれが案外なかなか面白い。自分の中で人を組み立てて、それを自由にもてあそべるのだから。私は多分人を使いたがりなんだと思う。でもそれを悪いと思ってないし、積極的に人を使う。誰かに何かを頼めばそれなりにその人の実になるから。自信をもって人を使いなさいなんてことは言えないけれど、人生を楽しく思えることってさまざまにある。それがたまたま人を使うことで、私にとって本を書くことだったってだけ。学部を卒業してから就職したころはとにかく前に向かって突き進むこと一心だった。ところがどうして、就職して慣れてくると頭ってのは重くなって下を向き始めてしまう。そんなときにふっと自分の中で何か細い紙で作った糸みたいなものがプツンと切れる。そこで私は仕事を辞めた。仕事をしていることが自分の最大の魅力ではないと思ったからだ。でもどうやら人はどうして働く義務があるらしい。ということで人生の二度目をつかむために大学院になんて進むわけである。大学院を出ればまた新卒にエントリーできるもんだから世の中うまく回るようにできてる。第二新卒なんて扱いではない、新卒だ。大学では建築を専攻して、大学院では音響を専攻した。それによって何が得られたかなんて無粋な質問なのだけれど、コンサートホールを一目見て一回手をパチンっと鳴らすとホールの素性がわかるくらいには音響に真剣に取り組んでいたのだろうと思う。建築なんて学部のころのことだから大したことはしていないのだけれど、それでも箸を持てばモーメント図が出てくるくらいには取り組んだ。有限要素解析なんてものを当時は英語版しかなくてそれを和訳するだけの論文を書いたわけで、多分翌年にはまた新バージョンがリリースされるから全く無意味な研究だったなと今では思う。それ以上に柱を試験機で壊すのが好きだった。思えば子供のころから何かを破壊するのが好きなウルトラマンの悪役みたいな性格をしていた。どうしたらうまく壊せるか。これがなかなか難しい。人間関係を崩すのは得意だけれど、いまだにものを壊すのも、何かを作るのも苦手だ。首を垂れていたってなにも浮かばないから、今度は上を向いてみる。そうすると当然前にぶち当たるわけで、人生だってなかなかうまくいかない。でも人生ってうまくいかないから楽しくないけど面白みはあるのかななんて考えている。

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