第7話 リーダーは誰だ
「──なあ、俺思ったんだけどさ……」
「おっ、早くもかき氷のおかわりか?」
「ああ、そうだな。
「だろだろ、ここの喫茶店のかき氷は最高に美味しいんだよ♪」
「……じゃ、なくてだな」
涼しげな風鈴が鳴る店内で、
何かしら?
今から男の子同士二人が恋をするボーイズ・ラブ(BL)ルートに突入しちゃう?
「俺、一応この四人のメンバーの中でリーダー的な存在だよな?」
「ふーん、そうなのか?
──あっ、そこのお姉さん、イチゴミルクのかき氷もう一杯おかわりお願いします!」
「いや、そうだろ。カクヨムサイトのあらすじの自己紹介のプロフにも載っていただろ!」
ああ、この物語の第7話目にして、ようやく気づいてしまったか。
大瀬君って以外と鈍感な部分もあるから。
誰にでも親しげなわりには損なイケメンだよね……。
さあ、それで蛭矢君はどうでるかな?
私たちが影から見守っているから大丈夫。
──今から蛭矢君を放置プレイします♪
****
「──いや、お前じゃなく、
そこへ、店員の持ってきたトレイからイチゴミルクのかき氷がテーブルに置かれ、蛭矢君は無邪気な笑みを浮かべてシャリシャリと口に含んでいる。
あの幸せそうな食べ方。
どうやらオタクな蛭矢君にも人生の伴侶が見つかったみたい。
相手はかき氷で人間じゃないけどね。
「おい、食べてないでちゃんと俺の話を聞けよ。
──大体、英子は人付き合いが苦手な性格設定になっていてリーダーとか考えられないだろ?」
「いやいや、英子ちゃんのことだから『その設定とやら、私が
……あの、蛭矢君?
私は無差別な殺戮の破壊車、ブルドーザーじゃないからね……。
「何だ、その二重人格のような性格は? 彼女はそんな女性じゃないよ」
「……そうなのか?」
大瀬君。
こんな私でもちゃんとフォローしてくれるんだ。
……優しいな。
やっぱりできるイケてる男はちがうね。
私、少しだけときめいちゃおうかな?
「ただ、感性がずれている部分はあるけどさ……」
「だよな。今まで平気な顔でリーダー気取りだったもんな」
おーい、大瀬君。
誉めちぎって5秒後に私を崖から突き落とすのかい!
「まあ、これまで通り自然体でいけばいいじゃん?」
あっ、私の後ろにいた
いつの間にか大瀬君たちの場所にいて会話しているよ。
何も起こらなければいいけど。
「大瀬。モブでもさ、いつかきっとリーダーになれるよ。美伊南が保証するからさ」
ああ、駄目だよ、美伊南ちゃん。
敵の切り傷に塩、いや唐辛子を塗るような行為をしてるよ!
「なるほど、いずれ俺も立派になり、ちょうちょになって羽ばたけるというわけか」
「何だ、お前、屋台でも始めるのかよ?」
「いや、蛭矢、ちょうちょだ。提灯ではないからな」
「じゃあ、あの大怪獣モ○ラのようになるのか?」
あらら、眼鏡を輝かした蛭矢君の頭の中で大量のお惚けコントのコピー用紙が沸きだしているようだね。
あの大瀬君も頭を抱えてるよ。
「きゃははは。蛭矢ったら超うける♪」
美伊南ちゃんは地べたで笑い転げてるけどね。
……あらら、今日の朝、私に自慢していた下ろし立てのワンピースが汚れるよ。
「だったら英子がさ、誰がリーダーに相応しいかどうかここで判別したらどう?」
「おっ、美伊南。それはナイスなアイデアだな」
ちょっと美伊南ちゃん、思いっきり私を巻き込んでるよ。
今、私は関係ないじゃん!?
****
「私は……みんながリーダーになれる素質があると思います……」
「何だ、英子ちゃん照れてるのか?
面白いやつだな」
「ううっ……」
はあ、三人と
そんなことよりお腹も減ったね。
みんなにバレないといいけど。
『グーキュルキュル♪』
「英子、お前……」
あちゃ、よりにもよってお腹が鳴るなんて。
一生の不覚だよ。
「その特徴的な鳴き声、真のモ○ラの声優はお前だったか」
「英子ちゃん、これからもその調子でリーダーも頼むぜ」
「ね。美伊南の言った通りじゃん♪」
……どうしてそうなるのよ!?
第7話 おしまい。
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