青葉茂るその日まで~大切な人を想う時。~(2)

『しかし、再起を図って必死になって練習してきた前期試験で、私は及第点しかとれなかった。

自分では、完全なスランプだとわかっていたけど、他人にはこれが私の実力だと思われたと実感した。

能力の低い者はまわりからは邪魔者扱いをされ、同じ専攻の中でも助けようとしてくれるのはわずかだった。

もっと人数の多い学校にいた方が少しは精神的に楽だったかもしれない。なぜなら、無視する人と助けてくれる人の割合が同じなら、在籍数の多い大学に行けば、助けてくれる人の人数が増えるからだ。


そして、我慢の限界がきて、大学を一週間休んだ。


何かが起きたとかではなく、自分から決めて休んだのだ。

毎日の通学路で、自殺衝動が起きるようになってしまったから。

今、このまま駅を通過していく電車に飛び込んだら即死できないかな、と思うことが増え、気がつけばホームの端ギリギリまで歩くようになっていた。

知らない人に声をかけられて、ハッとしたこともあった。

これではいけないと、自分から駅のホームの一番後ろで電車を待つようにしているうち、これはもう無理をしている場合ではないと思った。

今ここで死んだって何も解決しないと思えたから、私はまだマシな方だったのだろうと思う。

それでも、毎日のように電車を待つうちに、これ以上の無理は危険だ、しかし、ここで諦めるのは悔しいと思い、自分の担当の先生にはご迷惑をおかけできないからと、私の悩みを聞いて下さっていた別の先生に現状をお話して、大学を一週間だけ休むことにしたのだ。

私の担当の先生は、私が演奏に悩んでいることも学校に悩んでいることも全部ご存知だったが、成績の悪い私がこれ以上のご迷惑をおかけできない、申し訳ないと思い、先生がいつも必ず休講にされる期間を選んだ。

計画的に休みをとったこと、また実家ではなく大学から離れた親戚の家で休ませてもらったことで、心身ともにリフレッシュしただけではなく、一週間も楽器に触れなかったために、やっぱり自分には音楽しかないのだなと痛感できた。


そして、休み明けの最初の月曜日。

彼と電車で会った。

彼は驚いていた。


「何かあった?学校休んでたでしょ?」

「うん、ちょっとね。」

「前に見た時よりも顔色がよくなってるけど、あんまり無理しちゃだめだよ?」

「……うん……ありがと……。」


電車の中で、涙が出た。

彼をオロオロさせてしまって、泣き笑いになってしまったけど、彼の言葉がどれだけの救いになったのか、彼はきっと知らないままだと思う。

彼にはいつでも笑っていてほしいから、理由なんか知らなくたっていい。


だって、彼は太陽だから。』



 さすがにこの部分を書いたら、一息つきたくなった。

 あの母さんが、学生時代にそこまで追い込まれてたなんて、想像もできなかった。

 今の母さんが、あんまり電車に乗りたがらないのは、無類のドライブ好きだからだと思うけど、もしかして今でも電車に乗るのは苦手なんだろうか。

 そんなことを考えながら、学校の帰り道にコンビニで買った、ペットボトルのコーヒーを飲んだ。

 なんだこれ!俺が思ってたよりもすっげぇ苦い!間違って無糖を買ったのか?と思ってラベルを見ると、微糖ってちゃんと書いてた。

 なるほど、これが低血糖って状態か。初めて体験した。メモしとこう。

 いつもどんだけ脳がサボってるかって話だよな……慣れないことやると、こうなるんだな。情けねぇ。

 微糖だったはずのコーヒーと一緒に買ったお菓子を開けて、つまみながら読み返した。

 マジでこのまま進めていいのかな?人前に出さないって決めたけど、歌声の主の温かい歌声を思い出すと、公開するとかしないとかに関係なく、ちゃんと最後まで書きたいって強く思った。



『休学明けすぐ、私に転機が訪れた。


学外で他の大学の人達とオーケストラのコンサートに出演できるという。

そのためにはオーディションを受けなければならないとのこと……私は自信がないながらも受けてみることにした。

結果は合格、しかし、そのコンサートのメインになる曲には私の席はなかった。

その代わりに、他の二曲で大役を任されることとなった。

これが、私の大きな転機になった。

一般大学で勉強しながら部活またはサークルに参加している人は、短時間にみっちりと練習をしていることや、固定観念に凝り固まった芸大生には、もっと自由にやっていいんだと教えてくれるほどの、膨大な知識を与えてくれた。

私は一生懸命に演奏した。たとえ出しゃばっていると言われてもいい、思ったことを話してみようと、積極的に発言もした。

そうしているうちに、私には仲間ができた。

楽器も学年も超えた、たくさんの仲間ができたのだ。

彼には何も話していなかったが、この学外オーケストラのことは彼も知っていた。

ある日、電車の中で会った時に、彼に話してみた。


「そっかぁ、しばらく会えない間に色々頑張ってたんだねぇ。」

「そんなことないよ、私なんてまだまだだよ。でも、今すっごい楽しいよ!」


彼に対して、初めて胸を張って「楽しい」と言えた。

学外オーケストラの練習は、私に、復活への道を教えてもくれた。

私の担当の先生からも、やっと自分の道が見えたね、と言われた。

そして、初めて目一杯褒めてくださった。

自分で自分の道をみつけ、それが私によくあっていることを細かく話して下さり、とても喜んでくださった。

あぁ、私はこんなにも恵まれていたことに、気がついてなかったんだ。

なんてもったいない時間を過ごしてしまったんだろう。

けれど、無駄に思えたこの時間こそが、私のスタイルを見つける一番の近道であったのだと思う。

学外オーケストラでのコンサートも大成功し、翌年のオーディションも受けたいと本気で思った。

仲間との再会を約束し、そして、みんなで遊びに行こうと約束したり、自分達で小さなコンサートを開いたりした。

大学の中には、一般大学、つまり音楽を専攻していない人と演奏会を企画して開催するなんてと、バカにする人もいた。

けれど、彼は違った。


「芸大や音大にいるからって、必ずしもいいとは限らないんだよ。今回のことでよくわかったんじゃないの?」

「うん、ほんとによくわかった。それにもう、誰に何を言われても気にしない。だって学外オーケストラのみんなや貴方のおかげで、私はこうして胸を張って芸大生です、楽しく演奏してますって言えるもん。」


彼は本当に嬉しそうに笑ってくれた。

真夏の太陽が、私にも降り注いでくれた。

今までは、桜のつぼみが開くのを見守ってくれているかのような、柔らかくて暖かい光だった。

これは比喩でもなんでもなく、彼の笑顔には色んな種類があった。

それだけ、彼は感情豊かな人だったのだ。


そして、3年目の大学生活に突入すると、私はついに復活した。

試験で演奏するには点数が取れないと言われていた曲で試験に挑み、高得点をいただけることとなり、同級生だけではなく、大学内のみんなの態度が少しずつ変わっていった。

その年も学外オーケストラのオーディションを受け、新しい仲間が増えたりと、充実した生活を送った。

疎遠になっていた郁も、学外オーケストラに参加していた。

郁も私と同じく二年連続での出演となった。

弦楽器の郁と一緒になることはなかなかない……というか、私が管楽器の仲間や、前年度から一緒の仲間とたくさん話していたから、郁と話すことはほとんどなかった。

私は二度目の学外オーケストラのメンバーでの別の演奏会の企画運営を任されることとなり、そのまま大学生活の最後の年を迎えた。

さらに増えた仲間と、小編成の室内楽チームをたくさん募集したコンサートだった。

当初の目標を超える参加者に、私は心から喜んだ。

忙しいくて夜更かしすることがあっても、全然苦にならなかった。

また、フォローしてくれた仲間のおかげで、そのコンサートも大成功をおさめることができたのだ。

そのコンサートで、私が演奏したいと思った曲があった。

すべてのパートの楽譜が載っている、いわゆるフルスコアは手に入ったが、肝心なパートごとの楽譜がみつからなかった。

お手上げ状態に落ち込んでいると、ある日、久しぶりに電車で一緒になった彼が驚きの発言をした。


「その曲なら、俺も演奏したことあるから、パート譜全部持ってるよ。」


こんなに嬉しいことはなかった。

彼が楽譜を長期に貸し出してくれたおかげで、著作権的にも問題なく演奏することができた。

しかし、私はここでひとつ失態を犯してしまった。

彼に、ひとつだけパート譜を返し忘れてしまったのだ。

しかも、よりによって彼が前の大学で専攻していた楽器の楽譜を……。

貴重な楽譜のため、下手な返し方はできない。

ずっと私の手元にあるまま、芸大生四年目では恒例の演奏会だらけの秋に突入してしまったのだ。

この頃には、学内でもたくさんの人と話すようになっていた。

そして、疎遠になったままだった郁とも、なんとなく話す機会ができ、互いに過去のことを謝り、また友人として付き合うようになった。

演奏会がたくさんある秋からずっと慌ただしいまま、なんと卒業式まで来てしまった。

しかし、こんな時に限って、私は彼に返すべき楽譜を忘れてしまったのだ。

謝恩会で、彼にその非礼を謝ると、


「じゃあ、また会える時でいいよ!」

「うん、そうだね……じゃあ、新人演奏会の後に連絡するからね。」


そして、私が彼と言葉を交わしたのは、これが最後となった。』



 さすがにこれは母さんも堪えたんだろうな……。

 俺だったらどうする?

 今なら、意地でも連絡してすぐに会えって言うけど、実際にその場の雰囲気と本人の気持ちになったら、果たして本当にできるのかな。

 ここまでしか読まなかったら、きっと誰でも「すぐに会いに行くべき!」って思うんだろうけど、この後に起きる出来事を知ったら、きっと違った意見が出てくると思うんだ。俺としては会ってほしいけど、ちょっと思うところもあるくらいだし・・・そのことを効果的に、でもわざとらしく引っ張るよりも、ここはこのくらいで話を進めるのが、ちょうどいいような気がする。

 小説を書くのって、思ってた以上に難しいもんだな……相変わらず、ペットボトルのコーヒーは苦いままだけれど、一口飲んで続きを打ち込み始めた。



『卒業後、私は郁と別の友人と三人でアンサンブルを組んだ。

卒業したての私達は、とにかくがむしゃらに練習して演奏会に出演させていただいたり、クリニックに参加させていただいたりと、積極的に活動した。

そのうち、郁が結婚し、私も結婚した。

結婚して家庭を持つと仕方ないのかもしれないが、郁は練習してこなくなり、そのうち出産もあり、演奏回数は激減し、私達のアンサンブルは自然消滅となった。

郁とは、その後もママ友としてつきあっていた。

郁は、結婚前から、彼と仕事先で会ったことをよく話してくれた。

私は郁に、彼と電車などで話していたことは言ってなかったが、彼にどうしても返したい楽譜があるから、なんとか連絡を取りたいと話し続けた。

しかし、彼は忙しくて連絡ができなかったり、郁が彼と話すこともままならなかった、と言われてきた。

私から彼に直接連絡しても、なかなか繋がらなかったために、打つ手はなかった。


一度だけ、遠目に彼を見たことがあった。

たまたま、仕事先が同じ会場になったことがあり、話しかけようとしたら、一緒にいた郁が先に話しかけに行ってしまった。私はその間、事前の打ち合わせになってしまい、すぐには声をかけられずにいた。

打ち合わせが終わり、これは今すぐに話しかけなければと思ったが、先に話していた郁から近寄るのを止められ、彼は今から打合せがあるから話すのはもう無理だと聞き、すぐそばにいる彼に話しかけられないまま、まるで遠くにいるかのような気持ちで彼を見ていた。

これが、私が彼をみた最後となってしまった。


その後、数年経ったある日、郁から電話があった。


「彼が亡くなったんだって。確か、彼と仲が良かったんだよね?早く知らせなきゃと思って……。」


信じられなかった。

どうして?

彼が病気だったとかも聞いていなかったし、何が起きたかさっぱりわからなかった。

彼がいなくなった事実は到底受け入れられるものではなかった。


聞くと、お通夜は翌日だという。

スケジュール的に、お葬式は無理だったために、翌日のお通夜に行かせてもらうことにした。

お通夜に行く道すがら、同窓会の役員をしている同級生と連絡がとれた。

葬儀に出すお花のこと、私にだけどうしても連絡がとれなかった、だから事後報告になってごめん、と言われた。


私に連絡がつかなかった?

どういうこと?


訳の分からないまま、葬儀場についた。

そこは、普通の葬儀場では考えられない光景が広がっていた。

たくさんの人が、彼と最後の別れをしにやってきていたのだ。

後で聞くと、お通夜だけで200人以上の人が参列していたそうだ。

さらに後日、彼のお葬式の参列者は300人を超えたのだと聞いた。

私は別に驚かなかった。


彼という太陽が、これだけの人の中心にいたということだ。


彼を慕い、ともに時間を過ごした人が、こんなにもいたのだ。

もちろん、葬儀にもお通夜にも出席できなかった人もたくさんいて、納骨後のお墓参りも大変だったそうだ。

お通夜というのに、テーマパークの人気アトラクションの待機列かと勘違いしてしまいそうなほどの長蛇の列を並んでいると、同窓会の役員をしている同級生に会えた。

そこで、ショックな言葉を聞いた。


「彼は家で亡くなったんだよ。亡くなる前日の夜はいつもと変わりなかったんだけど、次の日の朝に出かける時間になっても起きてこなかったから、起こそうとしたお母さんが発見したんだよ。自宅で急死したために、警察で解剖をしないといけなくて、亡くなったってSNSで発表されてから一週間も経って、やっとお通夜ができるようになったんだよ。」

「一週間!?」

「で、その時間があったおかげで、色んな人に連絡をとったんだけど、あなただけがどうしても連絡とれなくって……。」


郁だ。

郁が、すべての情報を私に教えなかったのだと、ようやく気がついた。

事情があってSNSができなかった私は、彼女から聞く様子が頼りだった。

郁は何もかも知っていて、私に黙っていたんだ。

そして、何年もそうやって、私が彼と話せないようにしてきたんだ……。


普通なら、二重のショックを受けたと思う。

しかし、私は吹っ切れてしまった。

色んなことに合点がいったから。

彼だけではなく、私が望んだたくさんの人とのつながりは、郁が片っ端から止めてきたためにすべて叶わなかった。

そのうちの一人が、彼だったのだ。

もう郁なんてどうでもいいや。

こんな人を信用したために、本当に大切な人にもう会えなくなってしまったんだ。

私はなんて馬鹿だったんだろう。

あまりにも自分のことだけに必死になったために、目が曇ってしまったんだ。

本当に大切な人とは、自分からもっと動いて会いに行くべきだったのに。


棺に眠る彼のお顔が、解剖したというのが信じられないほどに穏やかで、まるでまだ笑っているようで。


「もっと早く会いに来れなくてごめんね。」


これしか言えなかった。


この後、私は郁と連絡をとらなくなった。

たくさんの人との繋がりを絶たれたことを恨みに思ったこともあるけど、未来にむけて動かないと、また同じ失敗をしそうな気がしたから。


彼なら、きっとこう言うはず。


「次がある、次を頑張ったらいいんだよ!」』



 母さんの涙の理由は、以上だ。

 ここで保存して、誤字脱字チェックをして、完結にしようかと思った。

 だけど、ここで終わったら、『彼』に今の母さんがどんな思いでいるのか伝わらないような気がする。

 今の母さんがどんな人かは、俺がよく知ってる……あれ?俺、マザコンじゃねぇぞ?

 マザコンじゃないけど、ちゃんと伝えたいことはある。

 どうか、天国の『彼』に、今の母さんがどんな風に時間を重ねたのか、少しでも多く伝わりますように。

 そう願って、エピローグを書き始めた。



『遠くにあって鮮明に蘇るあの頃を、今の私は少しの胸の痛みと共に思い出す。


ここまで気持ちの整理ができるようになるまでには、ずいぶんと時間が必要だった。

それだけ、彼の存在は大きかったのだ。

例え、大学の四年間の中の、ほんのわずかな時間であったとしても、私を救ってくれた大切な人のひとり。


そしていつか、彼のように誰かを救える存在になれたら……私は、図々しくて果てのない夢を得た。』



 書き上げた。

 書き上げたというより、無理矢理やっちまったって感じだな。

 しかも、勢いだけで書いてしまったけど、これって小説として成り立っているのか?

 わっかんねぁなぁ……タイトルだって思いついてないし、どうすっかなぁ……。

 国語が苦手な俺が熱中して、ここまで書き上げた疲労感がドッと押し寄せてきた時、パッとタイトルを思いついたので、試しに入力してみることにした。


『大切な人を思う時。』


 ……画面に表示させると、なんかありきたりだな。

 っつーか、最後につける読点?句読点?どっちでもいいや、なんせマルがついてんのってどうなんだろ?いいのか?

 第一印象はありきたりだと思ったタイトルだったけど、しばらく眺めるうちになんとなく愛着が出てきた。


 だったら、タイトルはこれで決まりだな。

 最後のマル、どうすっかな。もうちょい悩むか。


 それにしても、母さんの学生時代、思ってたのと全然違ったなぁ。

 音楽も、俺がやってみたいゲーム制作も、競争の世界だ。

 今までは、ただなんとなく憧れのRPG大作や流行りのソシャゲとか作ることを考えてたけど、やっぱりきちんと考えないと。

 俺がやりたいのは、ゲームのどの部分を作ることなんだ?

 今回、母さんから聞いた話を題材にして・・・というか、そのまま小説にしてしまったけど、これからのことを考えるのに、すごくいい機会になった。

 脚本をやってみたいのか、どんなデザインをやってみたいのか、よく考えてみよう。

 志望校選びの基準は、グラフィックを勉強できるところがいいと思ってたけど、脚本をしたいなら、もっと本を読んだりたくさん書いて練習しなきゃな。

 どっちもできた方が、仕事としてはいいのか?それはそれで大変そうだけど、やりがいも絶対あるよなぁ。


 ファイル名にこの小説のタイトルを打ち込み、ノートパソコンをパタンと閉じた。

 書きあがってみると、最初は人前には出さないって言ってたけど、投稿サイトにアカウント作って公開してみたくなった。

 でも、そのためには母さんに許可とらなきゃなぁ……やべぇ!母さんに読まれるかと思うと、めっちゃ恥ずかしいな!


 母親に創作物を見られるかもしれないという、この何とも言えない酸っぱい感情をごまかそうとして、さっきのペットボトルに口を付けた。

 中から出てきたのは、微糖でも無糖でもない、空っぽのペットボトルの中に存在するコーヒーの香りだけ。その香りがまた何とも言えない弱々しい香りだったけど、微妙に香りを感じる程度には口の中に広がっていった。

 この感じ、もしかして何かに使えるかも……どう表現したら活かせるのか、頭の中では次の構想が動き始めていた。

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