叫べ!!

愛しています!


心では思ってたけど、彼女には届かなかった。


恥ずかしくて声に出せなかったから。


そして後悔するのは決まって、何かが起きてから。


……彼女の転校が決まった。


彼女がこの学校に来たのも転校だった。


なのに、いつでも彼女がいると思ってた。


転校前の誕生日。


彼女に会いたくて彼女の家に向かった。


同じ学区だから歩いていった。


あの角を曲がれば、彼女の家が見えてくる。


学生だったから、高いのは買えないけれど……握りしめていた。


彼女に会いたいけれど、


一言だけでも話したいけれど……


……僕は


……僕は、


恥ずかしさで


その角を曲がれなかった。


角から彼女が飛び出してくれるのを待っていたんだ。


馬鹿だろ?


今なら思う。大馬鹿ヤロウだって。


そして、奇跡なんか起きない。


だって、行動出来なかったんだから。


何事もなく彼女は転校していった。


幼馴染みだった。


あの時に角を曲がれていたなら。


家の前で彼女と話出来ていたなら。


握りしめていたものを捨てることなく


渡せていたら……


あれから一度も会っていない。


風の便りで元気にしているようだ。


僕も元気にしているよ。


タイムマシーンが出来たら、あの角で立ちすくむ僕をぶん殴ってやるよ。


そして、こう言うんだ。


「どうせ泣き虫の僕は泣くんだ! 当たって砕けろ! 一緒に泣いてやる。」


僕の初恋だった彼女に届け。


愛していました!


ありがとう。

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