私からあなたへ

くじら時計

手紙

貴方に会えたことで、私は世界が拡がったんだよ。


貴方に会うまでの私は風船だったんだ。


フワフワと流され、地面に足がついておらず、


リアルに生きながらリアルに生きていないような生活で


風船の私は皆と違う世界の住人だと思っていたんだ。


貴方が風船の紐を掴んでくれていなかったら、


私は上に向かって飛んでいったかもしれない。


皆に見てもらえるまでドンドン上がっていって


風船の友達を探して、探して、探しまくって


そのまま消えていったかもしれなかったんだよ。


貴方が紐を掴んでくれていなかったら。


貴方を通じて見えた世界はリアルだった。


今までは風船越しに見ていた世界だったって知ったんだ。


頬を切り裂く風や雨粒の重さ、地面からする雨の匂い、太陽の刺激的な光。


私、地球に生きていたんだって改めて感じたんだよ。


異世界にいた僕を見つけてくれてありがとう。


貴方のおかげで今の私があるんだよ。


貴方は私みたいになりたいって言ってるよね。


私は貴方みたいになりたいんだ。


笑いたい時に笑える貴方になりたいんだ。


その笑顔に


愛してる

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