秘宝

「〓〓の人」とよばれた少女がいた。


 少女は、夏休みが終わったあとしばらくダラダラと過ごしたあとのある秋の日、西の果てへの冒険を開始した。


 少女の冒険の旅は果てしなく続いた。


 大いなる秘宝はそこにあるはずであった。


 ときに、秘宝を求めるという最大の動機はどこかどうでもよくなってしまったことが、何回もあった。


 なぜか、少女は、悪逆非道の者たちに虐げられている市井の人々を助けて戦ってばかりいた。それが目的ではないはずだったと気づくことも忘れ、戦いに戦いを重ね、悪を滅していった。


 諸悪の根源とすら思える敵をも倒した。


 そして、しかしてついに、本来の大秘宝の目前までたどり着いた。西へ向かう旅はいつしか東の島にいることになった。


 深い洞窟の奥へと進む少女。エビの山を回収しながらさらに奥へ奥へと進み、最後の隠し部屋で見出した大秘宝は、果たして――


 「イカの人」とよばれた少女の着ている服とそっくり同じものだった。


「ワンピース」 完

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