蒼雷は紅落の空に堕ちて
芋メガネ
プロローグ
10年前 日本某所
暗がりの中、二人のエージェントは刀を持ちその中を進んで行く。
「稲本先生、こっちはクリアです。」
「任務中は先生と呼ぶなと言ってるだろ、夜叉。」
「僕は名前通りの劔で問題ないんですけど。」
「ったくお前は…」
二人は死体の転がるその中を彼らなりに警戒しながら進んで行った。
そしてその奥、そこには血に塗れた一人の少年の姿が。
「こちら"朧"、対象と思しき少年を確認した。歳は……作一と同じくらいだから7か8くらいと思われる。」
「大丈夫かい、怖かっただろうに…。」
一人が手を差し伸べるとその少年はきょとんとした顔で答えた。
「怖い…?」
「だって君はFHの実験台に…」
「夜叉、この子は多分、感情を…」
この時、朧は気がついていた。
この少年には欠けたものがあると、そしてそれが人間にとって大切なものであるということも。
「回収しろとの事だ。行くぞ夜叉。」
「はい、先生。」
二人はその少年を保護し、そのまま帰還する。
そして時は流れ――
現在 10月26日
H市 UGN支部 本部
その感情を奪われた少年は今――
「なんで…なんでお前がFHに…!!黒鉄!!」
「憎いからだよ…お前ら、UGNの全てが…!!」
憎悪と共に稲本の前に立っていた……
これは、何一つ持たず生まれた二人が袂を別つまでの物語である…
『蒼雷は紅落の空に堕ちる』
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