聴きたかった3つ目のフレーズ

たけし

第1話 自己PR

鬼滅の刃の主人公のように、いい兄ちゃんになりたかった。


人として恥じない生き方ができたらよかった。


そういう選択肢すら思い浮かばなかったんだ。


僕は頭の悪い人間です。


僕はどうしようもない人間です。


高校を卒業し、山形から進学のため上京。


早2年が経ちました。


しかし、恥ずかしながら兄弟とも親とも、良い関係を築けているとは言えません。


一つ下の弟は、高校を卒業してすぐ、働き始めました。


それは祖母伝いに聞きました。


きっと実家の家計が厳しくて、進学することができなかったんだと思います。


妹は高校を休みがちらしいです


中退するかもしれません。


長男であるにもかかわらず、僕だけが親のスネを嚙っているんです。


だからせめてもの罪滅ぼしにせっかく行かせてもらった大学だけはちゃんと通おうとは思っているんです。


そして卒業したい。


でもお金がありません。


奨学金も足りなさそうです。


返すあてもありません…


在学中だからなんとも言えないけれど、このご時世、返せるあてなどあるのでしょうか。


人として大きくなりたいのに、不安感ばかりが大きくなります。


先日、パチンコで負けてしまいました。


最後の1万円でした。


バイトも長く続きません。


でも働かなきゃ生きていけません。


どうか、助けてください。




この世に嘘がなかったら、こんな風に書いていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る