『小さなお話』 その105

やましん(テンパー)

『粉末ジュース』

『これは、フィクションです。』


              🍹



 昔は、粉末のジュースをよく飲んだものですが、最近はわざわざ自分で作ることもなかろうと、まったく気にもしていませんでした。


 しかし、ネットを見れば、今でもけっこうあるものなんですね。


 そこで、ねこママが、言うのです。


「やましんさん、新商品が出来たんだにゃん。後からになるけど、承認してにゃん。」


「あん? なんですか?」


「じゃあ~~~~んにゃん。『ふくらむ、おいしいやましんジュース』!」


「なんだそりゃ?」


「はい、カップに、このジュース、ひとふくろ分、入れます。やましんの可愛いお顔が書いてあります。」


「まてまて、そりゃあ、ぼくの、独自開発のお顔だよ。将来、サインとかの必要がでたらと、15年以上前に開発したんだ。職場でも、さっぱり、受けなかったけど。」


「そりゃそうだにゃんこ。中身が必要だにゃん。」


「ズキッ!」


「はい、お水を注ぎます。・・・・あ~~~ら、不思議。」


 なんだか、コップの中から、やましんの顔がぷわ~~と浮かび上がり・・・・


 『うぎゃあ~~~もうだめだあ~~~~~。うぎゃあ~~~~~もうだめだあ~~~~うぎゃあ~~~~~』・・・・・・・・・


 と、7回くらい繰り返し、また、消えてゆきました。


 「あい、できあがりにゃんこ。おいしいにゃん。どうぞ。」


 「なんだか、ばかにされてるような気がするなあ。・・・どれどれ・・・おあ、うまい。たしかに、美味しいことは、美味しい。でも、ひどいなあ。もうちょっと、ましなセリフにならないの?」


 「まあ、美味しいと言う事は、よいことにゃんこ。味は、三種類。いちご、オレンジ、バニラ。あと、はとさぶろバージョンと、ごき大将バージョンと、カージンゴバージョンが出来てますにゃんこ。カルシュウム、ビタミンいっぱい。」


 「ママのバージョンは?」


 「それは、まだにゃんこ。」


 「はとさぶろの、見せてよ。」


 「はいにゃんこ。ほらにゃん。粉を入れて。お水を、じゃ~~~~~。」


  『はーい。はーい。こちら、万年はとさぶろ。ぽ。はーい。はーい。こちら、万年はとさぶろ。ぽ。・・・・・・・・』


 「こりゃあ、ママ、ぶっ叩かれるかも。」


 「ん・・・もう、OK。もらたにゃんこ。売り上げの、10%を還元するにゃんこ。はとさぶろは、仇討ち資金が必要にゃん。やましんさんも。」


 「ふうん。10%ねえ・・・・・。しかし、ごき大将のって、売れるのかな。」


 「もちろん。ごき一族では、人気商品になるにゃん。」


 「あそ。まあ、好きにしていいよ。一袋、おくれ。」


 「はい、どうぞ。」



   ************   🐱




 しかし、結局、未だ、10%のかけらも、入って来ないのです。  😸




     🍹  *****************  おしまい





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