第4話 名前

「え、ぼくがeスポーツクラブに?」

僕が驚いて聞き返す。

小学生チャンピオンのeスポーツクラブに誘われていた。

まっとく想像していなかったシチュエーションだ。


「そう」

彼女はにっこりと微笑む。

悪魔的な可愛さだ。

しかし、そこには一つ問題があった。


「え、でもゲームあんまりやったことないよ?」

そう、ぼくはそんなにゲームをやったことがないのだった。

もちろんぼくも普通の小学生男子だ。

ゲームをまったくやったことがないわけではない。

人並みには好きだと思う。

しかし、eスポーツとなるといままで考えたこともなかった世界だ。


「いままでのことはあんまり関係ないわ、大事なのはこれからの時間をどう使うかよ」

彼女はにっこりと自信を込めていう。

いままでそういう経験があったのだろうか。

これからの時間をどう使うか、考えたこともなかった。


「そういうものなの?」

僕が聞き返す。

普通の小学生とは全然違うかなりしっかりとした考え方に思えた。

これから先の人生の時間をどう使っていくのか


「そういうものよ!」

彼女はにっこりと微笑む。

彼女が言うならそういうことなのかな、と思えてきてしまう。

そしてもちろんeスポーツに興味がないわけではない。


「なら、少しみてみようかな」

ぼくは、答えた。

そう、いまは部活見学が許される時間だろう。

ぜひ彼女が夢中になっているものを見せてもらいたくなった。


「よし、決まりね!今日の放課後見学に来て頂戴!」

彼女は大きなリアクションをして微笑んだ。

一つ一つの仕草が可愛いる。

この姿だけ見ていると普通の小学生という感じだ。


「うん、わかった」

僕は頷く。

放課後が楽しみになってきていた。

eスポーツクラブ。いったいどういう活動をしているのだろうか


「やった!楽しみね!」

彼女は微笑む。

彼女も喜んでくれているようだ。

少なくとも僕が参加すれば大会に参加できるのだろう。僕が足をひっぱらなければそれなりの成果も出るのだろう。


「そうだね、そういえば君の名前は」

僕も頷いた。

そして肝心な彼女の名前を聞いた。

まだ聞いていなかったのだ。


「私の名前は綾崎ゆかり、よろしくね!高崎くん」

彼女はそういった。

彼女の名前は綾崎ゆかりさん。

うん、いい名前だね。


「うん、よろしく」

僕は答える。

僕の名前が高崎ただしだということは、さっきのホームルームで先生が伝えてくれたけど、さすがに全員分の自己紹介を聞くわけにはいかなかったので、まだ彼女の名前をきいていなかったのだ。


そして、一日の授業を終えて、放課後。

僕は一旦先生に呼び出されて、諸々の確認をした後、eスポーツクラブの部室に向かった。


「来たわね」

高崎さんはそう言って出迎えてくれた。

そして、そこにはさらに二人のメンバーがいた。

ここがeスポーツクラブ

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