聖獣の庭、あるいは忘却曲線

蒼乃モネ

第一章 見習い剣士の少年と聖獣使いの少女

第1話 overture

絶望と闇に飲み込まれる一人の少女がいた。

その娘は、すべてを失ったかのような顔をしていた。

また、すべてを悟ったように冷めきっていた。

あるいは、すべてをあざ笑うかのように微笑んでいた。


しかし、少女自身は無意識下でそれをやっていた。

彼女は、自分の表情どころか、何者かさえも知らないのだから。


このほの暗い空間は、どこだ。いつから。

肉体はもはや闇に溶け込んでいた。

かろうじてひとつの意思

だけがそこにあった。


長い長い悠久の時を超え、

ある瞬間、そこに突如現れた一筋の光。

少女はそれを恐れに似た気持ちで、ただただ見つめていた。


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