史上最強(凶)の帝国の終焉

輝久

滅亡への道


ここは剣と魔法のセカイ、ユグドラシル。



その中にある大国、ルブルム帝国———そこは、常に悪い噂が絶えることのない国。


悪逆非道、冷酷無比、倒行逆施…そんな国の頂点に君臨するのは齢15の王女様、そしていつも彼女の側に仕えている齢18の宰相の青年。


民に多大なる税金を掛け、その税金を使っていつも豪遊。


他国と戦争をする際には民間人でも関係なく攻撃、その時の死者に禁術である死操術を使ってゾンビ軍団を作ったり、龍やゴーレム、オーガなどを使役したりして侵攻。


道を歩く時に邪魔だと感じたら家だろうと墓であろうと神殿であろうとも破壊。


反旗を翻した者には残虐な拷問を施した後、目の前で親類全員を年齢、性別関わらず拷問した後に処刑。


このような事をこの2人は笑いながらやった。


恐怖政治で民を服従させ、禁術を用いて他国を侵略する。


そうして、ただの中堅国家であったルブルム王国をわずか数年でセカイの大半を支配する巨大なルブルム帝国へと作り変えた。


親を殺し、兄を殺し、姉を殺して王位を簒奪した年若き王女。


その王女に付き従い、右腕として数多くの権謀術数に加担した年若き宰相。


何もかもを思い通りにしてきた、そして今もしている2人。

セカイはルブルム帝国によって支配寸前だった。




しかし、セカイ最強であり史上最凶のルブルム帝国も遂に滅亡への道を進む事となる。


唯一ルブルム帝国に対抗できる戦力を持つ大国、アウレリア王国が国王のブブルクスを盟主として周辺国全てと同盟を結び、四方八方から攻め込んできたのだ。


最初は禁術を用いて連合国軍に甚大な被害をもたらしたルブルム帝国だったが、いかに強い帝国であろうとも多勢に無勢、だんだんと敗北を積み重ねていった。


その功績を見て中立を保っていた国々も連合国に参加し、連合国の戦力は次々と増えていった。




そのまま戦は続き、ルブルム帝国が最盛期の三分の一まで領土を失うと、戦闘は戦闘ではなくなっていった。


味方の謀反、離反、裏切りが後を絶たなくなったからだ。


恐怖で従わされていた一般兵達にとって帝国への忠義心なんて欠片もなかったのだ。


そして遂に民による反乱も起こった。


今までの憎しみや怒りを力に変えて帝国に逆らってきたのだ。




帝国の領土が四分の一にもなると、とうとう王女と宰相が戦闘に参加してきた。


王女は風、宰相は炎の魔法が使えたのだ。


そしてこの2人はとても強かった。


圧倒的な魔力量と魔法技術を持つ2人は超威力の魔法を撃ちまくり、連合国の軍隊を蹂躙した。


しかし、これまた多勢に無勢。


圧倒的な戦力を持つ王女と宰相でも四方八方からの攻撃を防ぎきることができず、また1つ、また1つと砦を落とされていった。


そしてそのまま負け戦が続き———






———今日この日、とうとうルブルム帝国は滅亡する事となる。

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