第46話 新診療

とある診療室。


「先生 この子の症状は…」


「残念ながら 手早いです」


「手遅れの間違いでは」


「いいえ 手早すぎます」


「どういうことですか?」


「早すぎて 反抗期を過ぎ低好期に入ってます。誰にも興味ないでしょう」


「ええ 母親にも父親にも、祖父母にも兄弟姉妹にも興味を示しません」


「それが低好期です」


「何か処方は?」


「これを切り刻み煎じて飲ませてください」


医師は自分が中学生だった頃に尊敬する師に処方してもらった中2病用の薬を冷凍保存しておき、ここぞと出す。


「内緒ですよ 新診療ですから」


「わかりました」


診療所の医師のデスクの中央の引き出しには、超レアなERO本のベストショットの頁が真空冷凍パックで忍ばせてあった。


「先生 例のもの私にも下さい」


「大人には過激すぎます。良からぬ方向に向かいます」と言いながら渋々処方する。


昨今の社会状況を納得させる新療法は、何かを忘れて

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