第40話 telephone LINE
おさっんたちが長蛇の列を作って並んでいる。
昔ながらの細い横丁通り。
平成の時代、バブル崩壊数年後、この横丁通りの古びた店舗で「テレフォン クラブ」などといういかがわしいものが流行していた。
金が欲しい女と欲が欲しいおっさんとの需給が見合うBOX。
「昨日、上物に当たったよ」
「そうか 今日も期待できるな」
「昨日なんか 入店後1分以内に当たったよ」
「まじか 当たり速すぎだな」
今は令和、LINEで全て情報が回る。
「昨日はイイ設定」
「乙」
「今日もイイハズ」
「バズルトスルカ」
インカムヲシタクロフクノオトコガバヲシキル
「アイツノダイヲアテロ」
「リョウガイ」
令和末期、末期的なスーパーカジノ構想で完成した高層ビルの大フロアでは、堂々と遠隔操作がまかり通っていた。人の操作もぬかりない。
「アナタ ビキナーズラックですね ツイテいますね」
カタコトノ外国人ディーラーのこの言葉が人々を沼に引きずり込む。
時代は変わっても人の心は変わらない。
「取られたら取り返す 勝つまで×」とんでもない怪字が血染めの指で壁に刻まれている。
おけらになった男のスマホ口座に謎の入金が繰り返される…通話も「モシヨケレバモウヒャクバイカシマスヨ」
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