第31話 ともだち

「お父さんの友達って1回もうちに来たことないよね」


「そうかな」


「お父さんって友達いないの?」


「いるよ」


「だから一度も見たことないよ」


「母さんが死んだ夜からずっと友達だよ」



 私は未熟過ぎて理解できなかった。父が言いたかったのは、お母さんが亡くなってから妻→母→友達に移行して行ったことではない。


「すぐ そばにいるさ」


 実際に父には見えるのだ。瞼を閉じれば蘇る。


「瞼達さ」

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