天才と目指せ最強?
俺はクレイとの激闘を終え城の中に戻る。
「文句なしの合格さ。直ぐにでも配備が検討されるだろう」
クレイが高らかに話す。
「あれだけで合格? 本当にこれだけでよかったのか?」
俺は正直疑問に思っていた。
この程度で本当に合格にして大丈夫だったのか。
クレイがそれに答える。
「本当はね、けれどこの世界だからね……あのスキルを使えたから『見込みあり』と判断したのさ。まあ、この後は追々決めていくよ。」
通りでか……
まああらかた予想は出来ていたがな……
「とにかく、今日は以上だ。疲れているだろうから今夜は休んでおきな」
クレイが話を切り上げた。
「はいよ。正式入隊は明日なのか?」
「ああ。明日の龍の刻丁度にここに来てくれ。」
聞きなれない単語が飛んできた。
「龍の刻とはなんだ?」
相手にとっては当たり前の事だと思うが聞いてみた。
「君……もしかして日本人かい?」
「へえ、良く分かりましたね。正解です。」
またバレたし……まあ隠してないしこっちの常識知らなかったから当然と言ったら当然だろうけどな……。
「通りで君があんなすごいスキルを覚えてるわけだ」
偶然覚えただけなんですけどね。
少し安堵した様な表情を浮かべながらクレイが続ける。
「時刻の話だったね。君、干支知ってる? それが分かったら簡単なんだけども……
日本みたいに言うと、子の刻が午後23時から1時で、牛の刻が午前1時から午前3時って感じで
牛の刻丁度は午前7時だ。昔日本人が決めたそうだ」
「昔から転生者が居たのか?」
まあこんな重要なことあのバカな奴らには到底無理だろう。
「ああ。少なくとも100年前には居たそうだ」
興味深いな。図書館で調べてみるか。
「それじゃあ、また明日」
俺はクレイに別れを告げ、街へと戻った。
~数時間後~
「困った。どうしよう」
宿がない。
その事を考えて無かった。
俺の脳もとうとう劣化してしまったのか。
俺は仕方なくこの街で唯一心当たりがある所に行くことにした。
「んで、ここに来たって訳なんだね。」
「あはは、悪い悪い」
ここは図書館。
この街で唯一顔見知りだったので転がり込んできた。
「何が『悪い悪い』だよ!合って一日の人に居候させてくれって普通思いつくかっての!メンタル鋼か!?」云々かんぬん。
ソウタにひたすら罵詈雑言を浴びせられた。
「僕が日本人でよかったね。他の連中だったらきっと衛兵呼ばれてるぞ……」
「そう言いつつ了承してくれたじゃないか。素直じゃないな~」
少しおちょくってみた。
「ざっけんな。 今すぐ追い出そうか? あとタダじゃあないからな。図書館の掃除手伝え。」
「はいはい。わかりましたっての」
案外優しいんだな、ソウタ。
「あと!お前がさっき出て行った時に散らかした本!片づけてもらおうか!」
「あ……やっべえ」
この夜、俺は図書館の掃除と本の整理で解放されたのは亥の刻の真ん中くらいだった気がする。
そのあと、図書館兼自宅になっていた個室を貰うことになった。
本当は貸してもらうだけで良かったのだが、ソウタが
「本当にたくさんあるから一つくらいでいいよ」
と言っていたのでめでたく自室となった。
さー、 早く寝よう。
備付のベットにくるまり、俺は眠りに落ちた。
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