過去
「キャーーーーー!!!!!!!!!」
甲高い悲鳴が聞こえた
声からして同い年くらいの女の子か
僕は
案の定同い年くらいの女の子がいた
腰が抜けている
なにか怖い物を見たのだろうか
その娘の視線の先には
蜘蛛がいた
小さな蜘蛛だった
見る限り毒も無さそうだった
襲う気配も無さそうだったので
再び彼女の方を見た
膝を怪我している
腰を抜かしたときにぶつけたのか
血が出ている
幸い使ってないハンカチがあった
近くの水道で濡らしよく絞って彼女の膝に巻き付けた
女の子と話すのは苦手だ
ただ怪我してる人は放ってはおけない
黙って応急処置をした
「ありがとう…キミ、すごいね。」
声をかけてくれた
でも上手く話せない
咄嗟に出た言葉が
「う、うるせー、早く立て」
我ながら情けない
十にもなって
もう二桁だぞ
こんなことで人と話せなくてどうする
お礼を言われたらもっと他にいう言葉があるんじゃないか
「う、うん」
ほら怖がらせた
俺の悪い癖だ
男なら初対面でも自然と喋れるのに
異性となるとどうも口が堅くなって上手く言葉が出ない
「えっとね、あたし、沙希。あなたお名前は?」
なんと
怖がっているはずなのに自己紹介してくれた
しかも自分の名前を聞いてくれた
これはチャンスだ
克服できるかもしれないぞ
「…晴樹。」
なんだそのぶっきらぼうな言い方は!!!
また怖がらせてしまうではないか!
馬鹿か俺は!!
「晴樹君かぁ…えへへ覚えた。ありがとうね晴樹君。助けてくれて」
あれ、意外と怖がってない?
しかも余裕がありそうだ
さっきまで蜘蛛で怖がっていたのに
なんなんだ?
これだから女はわからない
「ま、まあな。どういt「お兄ちゃんああああん!!!」しまし…て…」
この声は
「やっと見つけたお兄ちゃん勝手にどっかいかないでっていっつも、ってその人誰!?またお兄ちゃん女の子助けたんでしょ!!悲鳴聴こえるといつもこうなんだから!」
まあ8つとは思えないくらいにペラペラと喋れるもんだ
我ながら自慢の妹だ
うるさいが
「えっと…私だけじゃないんだ…」(ボソッ)
ん、なんか言ったか?
この沙希とやら
妹が来ると皆ブツブツ小声て喋る
はっきり言えっちゅーに
「あーえーと助けてくれてありがと。じゃあ私もう行くね。ママが心配しちゃう。それじゃ!」
「気をつけろよー」
そう
さっき晴香が言ったように俺は何人も女の子を怪我しているのを見つければ助けてきた
怪我してる女の子とのエンカ率一位なんじゃないか俺は
その割には女の子と喋るのはとことん苦手だ
妹は例外な
当たり前だ
家族だからな
まあ女子との会話でコミュ障発生率一位も俺なんだがな
言ってて悲しくなってきた
はぁ…
克服したい
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