第9話 「無 む ム」
「ム、ムム」
ちょっと変わり者の友人はその口癖を毎度ボヤく。
「無、無、無」
その友は、僧侶であり、お決まりでお説教を説く。
「 、 、 」
その友は、何も語らない。
カタナガリなき者だ。昔から。
カタナガリなき者と弾き語りなき者が共演コラボした。
永遠に音か鳴らず、会話も無く、歓声も拍手も無かった。
「完璧なる閑静が完成したよ」
それ以後、人々は沈黙を恐れなくなった。
「無えーーん」そして、泣く音も遂に無く鳴った…誰も聞こうとしないから
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