南国サンクチュアリ

常木らくだ

南国サンクチュアリ

プロローグ

プロローグ

 はるか南のそのまた南の島で、浜辺の教会の鐘が鳴った。


 ゆるやかに時を告げるその音色が、潮風に乗って広い広い海をわたる。

 しかしながら、驚いたカモメが慌てて一羽飛び立った以外は、特にこれといった変化もない。

 波は相変わらず穏やかで、高い高い空の上からは、眩しく明るい南国の太陽がのんきに島を見下ろしていた。

 幾度も増改築を重ねられたその浜辺の教会は、現在は島の文化遺産に指定された有名な観光施設の一つである。しかしながら、この場所に教会が建設された理由など、今となっては知る者はおろか、気にする者さえいなかった。


 南の島は、今日も平和だった。

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