入道雲

骨折さん

入道雲

 子供の時に見た。

 小高い丘の上から見た入道雲を。

 その大きさに子供ながら、言葉を失った。

 

 綺麗だった。

 夏の深い青い空。

 その青を白で埋め尽くすほどの天高く昇る入道雲を。


 東京に来て二十年以上が過ぎ、俺も大人になった。


 夏が来る度に思い出す大きな大きな入道雲。

 今年は見られるかな?

 なんて毎年思っているが、思い出を超えるほどの入道雲を見たことが無い。


 いや、違うか。

 俺が空を見上げなくなっただけだ。


 今年の夏は空を見上げてみよう。

 あの時の思い出のような大きな入道雲に出会えるかもしれないから。


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

入道雲 骨折さん @ashiitai

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説