短歌そのほか

金村亜久里

短歌1

6/1以前


ぐぷ  ぐぷ  と音立てながら  ウイスキイを炭酸で薄めたものを飲み干す


見えないものを見えるようにする 見えているものを見ないようにする



6/1


それを悪と謂うなら僕は決然と悪を担おうと思いますよ


いかにして神を滅ぼしうるかという虚命題を僕は知らない


tohu-wa-bohuと書いてトユヷボユと読む hebrew letter's gallian pronounciationなれば


空が脱臼する、だっきゅう、空、だだっぴぃ、だだっぴぃ、だっぷぅ、だっ



6/19


俺は火華кака の表象を知覚する一個の光学多頭機械だ



7/8


昨日一昨日今日西から吹く雷雨を雷雨を予告するだけの風


家の前の道を萎びて風に乗り転ぶプラタナスの葉は「く」の字


ねずみ色の空に暮れる日吉の車庫に生える単子葉類そよがない

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