第17話 ゴーグルとマスク

山を切り拓いて建てたようにしか見えない研修所は、とっくに日付が変わった時間帯だというのに、煌々と明かりが灯っていた。


駐車場に車をドリフト気味に停車したオッサンは、


「これを付けろ」


 と、ゴーグルとマスクを渡した。マスクは安い不織布とかじゃなく、本格的なガスマスクみたいなシロモノだった。ゴーグルとセットで装着したらもう人相は分からなくなるだろう。


「行くぞ」


 日常いつもとはまるで態度も口調も違うオッサンの後を、俺は慌ててついていくことしかできなかった。


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