第14話 着信音が鳴り響く

 ――22時。

 自宅のベッドに寝転がって動画を見ていた。吹き替えされていないドキュメントもので、内容は全然頭に入ってこない。眠気。うとうとする。寝落ちしかけた。


 その時だった。

 耳慣れない、そして耳障りな着信音が鼓膜経由で俺の脳をぶっ叩いた。


ガラケー社用携帯!?」

 

 間違いない。ガラケーが鳴っている。俺は慌てて通話ボタンを押した。


「はい!」

『寝てたかー?』


 電話から聞こえたのは、いつもと変わらないオッサンの声。


「いえ、起きてますけど」

『そりゃよかったー』

「なんすか」

『決まってる。仕事の時間だ』

「へ?」


 こんな時間から? うちの部署が?

 冗談でしょ――という前にオッサンの声が低く響いた。


『仕事だ。今すぐ会社まで来い』

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