第2話:感受性
その時の感情も、夢には影響を与えやすいようで、
怒ってる時は、攻撃的な夢に……
悲しい時は、切ない夢に……
嬉しい時は、幸せな夢に……
寂しい時は、憂鬱な夢に……。
子供は多くの感情が大きく変化し、
気づけば、すでに別の感情に変わってしまってる。
成長につれて、経験を積み
落ち着いた性格、大人しい性格へと
変わります。
___公園___
「もーいいかーい?」
「まぁだだよぉ~」
「もーいいかーい?」
「もぉいいよぉ~」
1人の少年が公園を駆け回る。
「***ちゃん、みーっけ!」
「もう、早いよぉ……」
「***くん、みつけた!」
「ちぇっ」
ごく普通な平凡な1日、
走って、遊んで、日は暮れる。
「もう、帰るわよー」
母親の一言で、
一斉に、はーい!と
それぞれの家に帰りつく。
「今日は何してたの?」
「今日はね!かくれんぼにね!鬼ごっこにね!……」
「あらあら、よかったわね」
夕日の帰り道、親子2人の影は伸びて行く……
___21:00___
夕食もお風呂も終え、最後には
絵本を読んで貰い、眠りにつく。
_______
一つの村で、悲鳴が聞こえてくる
「誰か!助けて下さい!」
「いやぁー!」
村の中に魔物が徘徊して
村人に、襲い掛かる……
絶望が村を包む……
そこに、銀色の鎧を着て
大きな剣を片手に立つ少年が現れた
「みんな、お待たせ!」
少年が剣を天に突き上げると
空にまばゆい光が村を照らす……
魔物は悲鳴をあげて、その場から
苦しいそうに、逃げていく
「おお、勇者様!助かりました!」
「悪い魔物は、僕が倒す!」
剣を振りかざし、太陽に突き立て
「魔王め!待っていろ!とぉ!」
太陽に向かって、走り出した勇者は、
夕日の影に消えて行った……
______
「朝よー!おきなさーい!」
小鳥のさえずりが聞こえる中、
お母さんの声が聞こえる……
「ふぇ~い……」
___学校の校庭___
___昼休み
「昨日、俺は勇者様だったよ!」
「へぇ~」「すご~い」
「私はお花屋さんだったよ」
「僕は……なんだっけ?忘れた~」
校庭の日陰で、
昨日、見た夢の話で盛り上がる子供達……
「でも、勇者って、子供だよねぇ~」
「え~、私はかっこいいと思うよ?」
「アニメの見すぎだろ」
ちっちっちっ……と、指を振り、
「ゲームだよ!」
と自慢げに、顔をあげる。
「えー?!買って貰えたの?!」
「今度、遊びに来ても良いよ?」
些細な約束を結び、教室に戻る。
___夜___
今日1日を振り返りながら、
ベットの上で、
明日は何しよう?と
みんなと遊ぶ事の予定を、
ざっくりと決め、布団を被る。
お母さんの、もう寝なさいと言う一言と同時に
スイッチに指をかける。
は~いと返事をすると、そのまま
電気を消され、真っ暗になる室内……
お母さんの最後の、おやすみを聞き、
意識が遠ざかる。
______
夕日の公園
あれだけ活気に溢れた公園も、
今では、静けさだけが残る……
周りをゆっくり、見渡していると
1人の少女の姿が映る……
少女もこちらに気づき、
走り寄ってくる……
「こんな所で、何してるの?」
色白の長い髪の少女が僕に話しかけてくる
「あ、いや、お迎え来るの、待ってるだけだけど……」
少女はにっこり笑うと
「じゃあ、お迎え来るまで、一緒にあそぼ?」
と話しかけて来て
少し不思議な感じはするけど、
なんだか、気になってしまう……
少女の提案に、断る理由もなく
「い、いいよ!何する?」
と、緊張しながら答えた
「こっちに来て!見せたい物があるの!」
少女は僕の腕をひっぱり、
公園の端の茂みに入って行く……
2人で手をつなぎ、歩きながら
「ねぇ、キミの名前は?」
少女はチラッと、こちらに目をやると
ただ、にっこりと笑う
そのまま、歩き続けると
かなり広い、草原に辿り着いた。
草原には、色とりどりの花が咲き誇り
見た事のない蝶々が舞う
「ここね、私の秘密の場所よ」
僕はその光景に、見とれていると
少女が腕の袖をひっぱり
「早く、あそぼ?」
「あ、うん!」
こんなに広い所、あったんだ!
何でも出来る!
少女と2人、草原を駆け回り、
花の冠を作ったり
蝶々を捕まえてみようとして、転んだり
思いっきり遊んだ
少し、遊び疲れて
少女と草原に、寝そべると
爽やかな風が吹き抜ける
「あ、そろそろ帰らないと!」
ふいに思い出し、上半身を起こした
少女はにっこりと笑うと
「どこに?」
と聞いてくる
「どこって……おうちにだけど」
少女の顔見て、
改めて、この子の名前
まだ、聞いていない事に思い出す
「キミは、まだ、帰らなくて大丈夫なの?」
「大丈夫だよ、私も、あなたも……」
いつものように、にっこりと笑う
「え?」
気づけば、辺りは真っ暗になっている……
急に怖くなり、最初に来た道の方へ
振り返ると
「ごめん!!帰らなくちゃ!!お母さんが寂しがるから!」
と、少女を横目に、走り出した……
少女は笑顔のまま、走って行く僕を見つめている……
月明かりのおかげで、道は見えたけど
元の公園にはなかなか、辿り着けない
ゆっくりと焦りと不安が、胸を締め付ける
こんなに遠かったっけ??
遠い道の向こうで、誰かの声が聞こえる……
「…………て……」
直感的に母親の声だと思った
「お母さん!!」
いくら走っても、先はまだまだ見えない、
足が重くなって行くのを感じる
「……きて……」「……おきて……」
少しずつ、お母さんの声が近くなって行く
もう少しで、声の元まで辿り着けそうになった時
足がもつれて、派手に転んでしまう……
「ったぁ~……」
すると、耳元から
あの少女の声が聞こえた
「今日は帰っちゃうの?……また、待ってるね」
______
目を覚ますと、病院のベットに寝ていた。
まだ、ぼぉ~とする、
意識の中で、お母さんと看護婦さんが、
慌ただしく動いている。
涙声のお母さんは、
すっごい嬉しそうにしているのが感じる。
いつから寝てたんだっけ……?
思い出せない……
昨日は何してたんだっけ…?
だけど、
曖昧の記憶の中、
1つだけ、はっきり覚えている……
名前の知らない……
かわいい少女の、にっこりとした……
笑顔……
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