ショートショート集

プリティじぃじ

第1話 何でも治る薬


「とうとう追い詰めたぞ!さぁ何でも治る薬を渡せ!」


息を切らせながら男は白衣の男を一室まで追い込んでいた。


「いえ、ですからお渡しする事は出来ないんですって!」


「うるさい!いいから早く渡せ!」


「うわ!暴力は止めて下さい!」


「誰が暴力を振るわせたんだ?さっさと素直にこの薬を渡しておけば痛い目を見ずにすんだのになぁ!」


「飲んではいけない!それは」


男は静止の言葉も聞かず、勢いよく薬を飲み込んだ。

ごくりと音を立てて飲み干すと、暫くせぬ間に男の顔はたちまち真っ青になって手に持っていた瓶を床に落とし、その場に崩れ落ちてしまった。


「あががっ……苦しい貴様、俺を騙した……な……。なんでも治るはずでは…」


その言葉を最後に男は息絶えてしまった。


「だから何度も説明したじゃないですか!鹿って!」



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