万葉集を読む

くるくま

1.最愛の人に会いたいという願い(2662)

吾妹子わぎもこに またもはむと ちはやぶる かみやしろを まぬはなし


(大切なあの人に また会いたいと [ちはやぶる] 神のいらっしゃる社に 祈らない日はない)

巻11 2626番


最初この歌を読んだとき、少し大げさすぎる表現だなと思った。「いも(大切な女性)にまた会いたい」ということから作者が男性であることが分かる。男性であればある程度身の自由は利くはずだから、いつでも会いに行けるのではないか。かといって、旅の歌という雰囲気でもない。いったい何が、彼が愛する人のもとへ行くことを妨げているのだ。

そう思っていた、コロナウイルスが蔓延して私自身好きな人に会えなくなるまでは。


もしかしたらこの男が愛しい人に会えなくなったのも疫病のせいかもしれない。

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