乱丁データ16
今日は宇宙に出てすぐの頃の手記を見た。長い。
真っ黒な中に光る点があるだけの景色と代わり映えのしない船内に、こんなに長い文章になるほど感じることが多かったのだと思うと不思議な気分だ。
幾つか忘れていたこともあるので、今日から大事に消化していくことにする。
まずはマザーAIの呼び出しを行った。手記によればうるさかったから人格プロトコルをオフにしたと書いてあるので試してみたかった。
存在すら忘れていたが、この船のマザーAIというくらいだ。話し相手としては充分機能するに違いない。
やはりもう二度と呼び出さないことにする。
ボタンを押しているだけではなく働かないと駄目だとか、この船の延命装置は倫理に反する出来損ないだとか、船員が一人しかいないのであれば地球に戻るべきだとか、時代遅れも甚だしい戯言を二日間聞かされた。
価値観や優先順位が地球にいた頃のものなのだろう。しかもその命令を実行し、消化しなければそれ以外のことを喋らない。確かにウザったかった。
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