Hey God.Where are you?

佐武ろく

Hey God.Where are you?

Hey God.Where are you?

あなたはどこでなにをしているのですか?

Hey God.Where are you?

この世界はあんたの望んだ通りになってるの?

Hey God.Where are you?

あんたにとって俺らはどういう存在だ?

俺にはあんたがいるのかどうかは分からない。もし本当にいるのなら今すぐ姿を現して世界を愛で満たしてください。それが無理ならせめて明日は今日より笑顔を増やしてほしい。


###


『拝啓、神様。この世界を、僕らを作ったのはあなたなんですか?あなたは全知全能なんですか?ならどうして僕らは日々同じ人間同士で戦い、誰かを憎み、誰かを傷つけ、誰かを蹴落としてでも富や地位・名誉を求めるのですか?どうして人は人を憎み、妬み、恨むのですか?この感情はあなたが与えたものなんですか?だとしてらなぜそんなものが必要なんでしょう?人を愛し、助け、手を取り合って生きていくだけじゃダメなんでしょうか?もしあなたが僕たちを創ったのならこれらの感情はミスに思えて仕方ないです。だけど全知全能のあなたならできるはず。明日起きたら人を憎むことも恨むことも妬むことも忘れてまるでなかったかのようになっていることを祈ってます。裏切りも憎悪も他国に対する武力もない愛で包まれている世界になっていますように。』


「これでよしっと」


僕は二つ折りにした手紙を白い封筒に入れシールで封をした。そして表に大きく『神様へ』と書き裏に自分の名前を書く。


「おーい。たけし!そろそろやるぞー!」

「分かったー」


友人の声に呼ばれ封筒を持ったまま立ち上がり彼の元に歩いて向かった。今日は友人の聡と真守と一緒にキャンプに来ていた。2人は僕と同じように白い封筒を片手にキャンプファイヤーの前で木の枝を放り投げている。


「できたのか?」

「うん」


僕は頷きながら持っていた手紙を見せた。


「なんて書いたんだよ?」

「えー言わないよ」

「なんでだよ。いいだろ」

「そう言う真守はどーなんだ?」

「俺は...。秘密だ」

「ずるっ!」

「こういうのって誰かに言ったら効果なくなりそうじゃん」

「じゃあ何でたけしには聞いたんだよ」

「まぁ気になるから」

「でも気持ちは分からなくもない」

「まっ。早速やってみるか」

「そだね」

「そだな」


これは真守が突然言い出したことだった。


「そう言えば前にネットで呼んだんだけど、神様宛の手紙を燃やすと神様に届くらしいぜ」


それは何の信憑性もないことだったけど面白がった聡と真守に流されるように実際にやってみることにした。それぞれが思い思いの手紙を書きキャンプファイヤーで燃やす。


「いいか?せーのでいくぞ」

「うん」

「おっけー」

「せーのっ」


聡の声に合わせて3人同時に手紙をキャンプファイヤーに放り込んだ。火に放り込まれた手紙はすぐに燃え始め一瞬で灰となった。そしてその手紙を運ぶように煙は天高く上がっていく。


###


『もし神っていうのがいるとしたら訊いてみたいことがある。私達を創った時にどうなってほしかったのか。今の世界を見ててどう思っているのか?もしかしたら創っただけで今は興味すらないのかもしれない。それかまた別の星で別の生物を創っているのかも。もしかしたら全知全能をもってすれば人間を創るなんて容易くてほんの遊び半分で創ったのかも。どちらにせよどんな未来を描きながら人類を創り出したのか直接聞いてみたい。それともこの世界は神の望んだレールの上を進んでいるのか?それともそもそも私達が自分の意思で未来を作ってるっていうこと自体間違いで全部神の思うがままに進められてきた?もしそうだとしたらとんだ茶番としか思えない』


私は走らせていたペンを止めた。


『ん~。さすがに様はつけたほうがいいかな?』


そんなことを考えていると教授の声が部屋全体に広がる。


「では時間になりましたので。書けた方は前に提出して退出して結構です。もう少し時間はありますのでまだ書けていない方は焦らないでもう少し書いててもいいですよ」

「なつみぃ~」


教授の声を最後まで聞かず隣から友達のあみの声が私を呼んだ。横を向くと、


「じゃんけんぽん!」


不意のじゃんけん。咄嗟に出したチョキは相手のグーが物の見事に打ち砕いた。


「はい。あたしの分も出してきて」

「うっわー。卑怯でしょ。引くわー」

「はっはっは。負け犬が泣いているなぁ」


少し煽るような表情のあみから用紙を受け取ると前のテーブルに提出しに行った。


###


俺は無神論者だが別に信じてる人をどうこう言う気はないし全然良いと思ってる。だが神ってーのがもしいるのならなぜ姿を見せない?姿を見せ力を示せば人類が信じるのはあんたという神一択だ。そもそもあんたにとって俺らとはなんだ?自分の手で生み出した我が子のような存在か?それとも俺らがThe Simsをプレイするみたいに画面の中にいるただのキャラクターか?もし前者ならなぜもっと争いもない愛に満ちた世界にしないのか疑問だ。いや、もしかしたらあんたはとてつもない恥ずかしがり屋って可能性もあるのかもしれない。それか俺らに手を貸す気はないもかもしれない。災害に戦争、パンデミック。その他にも悪いことは山ほどある。それら全てから救ってもらうには何を差し出せばいい?酒に米、大量の食糧、大金....はあんたには関係ねぇか。それとも人の命か?それと引き換えに助けてくれる?だとしたら神というより悪魔だな。無償の愛ってのをあんたが持っているのなら信仰心も捧げモノもいらないはずだがな。だがこれだけは言っておく俺もあとは運に頼るしかないって時は心の中であんたに助けを求めてるよ。もちろん成功だけじゃなく失敗も経験してきたがその時に理由をあんたにすることで切り替えることができた。だから少なくとも俺はあんたを利用している。いるかいないかは別としてそこには感謝はしているよ。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――


             神はサイコロを振らない。

             だが神がいるいないにしろ

          我々は問題に取り組まなくてはいけない。

            祈っていては何も始まらないのだ


        問題を見つけた時、既に賽は投げられているのだから

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