故郷
勝利だギューちゃん
第1話
海に来た。
遊びに来たのではなく仕事でもない。
僕は、自らの人生に幕を下ろす為に来た。
理由は汚名を着せられたため。
警察も取り合ってくれない。
警察も人、冷たいのだ。
海に来るのはいつ以来だろう?
まあ、どうでもいいや。
あらゆる生物の故郷は海。
その故郷に帰るのだ。
幸い、誰も悲しまない。
寂しくないと言えばウソになるが、解放感が勝る。
さよなら・・・
僕はその故郷へと足を入れた・・・
「お兄さん、何をしているの?」
その声に振り向く。
そこには、女子高生がいた。
しかも、かなり美人と来ている。
手には何か持っているようだが、気にしないでおこう。
「ねえ、何してるの?」
「見ればわかるだろう?」
「自殺?いけないんだ。まだ若いのに」
女子高生は何故か怒る。
「そういう君は、どうしてここにいる?」
「私?お兄さんと一緒だよ」
「一緒?」
「うん。人生を終わらせに来た」
明るく答える。
「じゃあ、手に持っているのは?」
「これ?遺書だよ」
「遺書?」
「うん。発見した人を困らせないために書いたんだよ」
当たり前のように、言わないでほしい。
「お兄さんは、どうして自殺しに来たの?」
「人間関係の疲れ・・・って、何で答える必要がある?」
「私もだよ。同じだね」
やたら明るい。
「ねえ、お兄さん」
「なんだ?」
「せめて死ぬ前に、2人でどこか行こうよ」
「デートみたいだな」
「みたいじゃなくて、デートだよ」
「どこへ行く?」
女子高生はしばらく考えているようだった。
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