第5話何故か始まるユウシャと魔王のバトル

「クッ、『命を満たす尊く蒼き物よ。我が言葉を聞き入れ我に仇なす者を打つ牙となれ!』」

おぉ、魔法を杖で打ち返されて教官も本気になったみたいだな。詠唱の内容的に、水の刃を八つ作り出し敵を切り裂く中級の水属性魔法スイレンを唱えているんだろう



「対してオーマちゃんは…うん?魔法も唱えず何故か移動してるな?」

八つの水の刃は回避しきれず防ぐ為には防御魔法が必要なのに、何故か呪文を唱えずゆっくりと教官の周りを回ってる。

おっ、止まったな。今目が合ったぞ。もしかして、俺に見て欲しくて教官を挟むように俺の前に来たのか?

いや、モテる男はツライね?デヘヘへ


『スイレン』

「ふむ、先ほどよりは強い呪文だが我を舐めておるのか?」

やっぱりオーマちゃん魔王っぽいな?アレかロールプレイで魔王なりきってますか?魔王プレイですか?

プレイ何て卑猥に聞こえるぞ!

とは言え速く撃退しないと負けるんじゃない?


「この程度の呪文しか使わぬとは我も舐められているようだな。」

おっ、オーマちゃん動き出した。とは言え手から出たのは下級魔法のエンカ…あれ?…今詠唱してた?いや、今の所無詠唱処か詠唱破棄のスキルすら無いしいつの間にか詠唱してんだろう


「けど、火属性のエンカは水属性に相性で!うぉぉぉお!」

相性で負けてる筈なのにオーマちゃんの火の魔法が水の魔法であるスイレンを全て蒸発させると対戦相手の教官をスルーして観客席にいた俺の方へと飛び込んできた。

慌てて全力で回避したが先ほどまでいた場所に50cm程の穴が空いてやがる。


と言うか、先のユウちゃんもだが、初心者プレイヤーじゃなくて歴戦の勇士と言われても納得出きるくらいスキルを自然に使用してねぇ?


「チッ!」

舌打ちしましたよ!オーマちゃんもしかして先ほどツルペタとか俺が言ってた仕返しなの?


「はっ?水属性のスイレンを下級魔法で打ち消した…あり得ない!まさか今のは!上級火属性魔法エンガオウ」

「何を言っておる。今のはエンガオウでは無い」

アッサリと魔法を消し去られフリーズしていた教官復活。しかし、教官の台詞に対して魔王様プレイ続行中のオーマちゃんは呆れる様に言いながら、右手をこちらに…ヤバイ俺の勘が告げている!全力全開で逃げろと!って言うか教官の攻撃を打ち消すついでに俺も狙ったけど当てられ無かったから直接狙おうとしてるとか…無いよね?無いよね?無いと言って!


「ただのエンカだ」

呆れる様に言いながらオーマちゃんの右手から火球が三つ生まれ順番に俺の方に飛ぶ。並ぶように飛ぶ三つの火の玉は速度も軌道も普通。


回避は簡単…だが、俺は全力で逃げろと言う勘にしたがい全力を尽くす、俺の職業である忍者は魔法使いが詠唱することで魔法を使えるように、指を複雑に組み合わせ印を幾つも組むことで忍術を使える。


「変わり身の術!」

一つ目の火の球があり得ない程急加速してきたので丸太を身代わりにし俺自身は二メートル前方に移動する変わり身の術で回避!


「分身の術!」

二つ目の火の玉は俺を追ってホーミングしてきたのでHPを五%消費し自動で動く自分そっくりの身代わりを生み出す分身の術を、

四回使って四人の分身で錯乱するも火の玉は正確に本体の俺を狙ってきたので分身四体を火の玉に特攻カミカゼさせ消し去る!


「土壁の術!」

三つ目は火の球が破裂し無数の炎の礫となり迫ったので土の壁を作り防ごうとするも壁は数の暴力に数秒で崩れ去るも壁の崩壊と共に火の礫も切れたので何とか逃げきるのに成功!

とは言えこれ以上の攻撃はヤバイ!こうなったら最終手段……


「「すんませんでした。調子に乗ってました」」

俺の三回転捻り飛び込み土下座と勝てないと悟った教官のジャンピング土下座が同じタイミングで放たれた。


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