予告された変人の記録

ジュン

第1話

ある一通の封書が届いた。開封し、なかの書面を読むと、次のように書かれていた。

「私は変人です。なぜなら、私は朝起きたら歯を磨きます。それから、私は新聞に目をとおします。テレビを見ます。日中は会社に行って働いています。帰宅してシャワーを浴びます。食事をとります。それから、お酒を少し飲みます。たばこは吸いません。そして、私は睡眠をとります」

私は思った。

「これのどこが変人なんだ。いたって普通の人じゃないか」

しかし、私はだんだんと「この男のいうことは正しいのかもしれない」という気持ちになってきた。

「いまの世の中普通でいられるのは、ある意味狂気の沙汰だ。変人であふれた時代に普通である人の方がむしろ奇異に見える。だから、この男は変人なんだ」

しかし、男の考えていたことは、実は違っていた。

「普通であることを変人のすることだ、なんて書けば、確かにこの人変人だと思うだろう」

男は、軽い気持ちで書いたのだ。

「私」の解釈は、双方の「私」共に、お互い見当はずれなのだ。


終わり

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予告された変人の記録 ジュン @mizukubo

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