第16話 「 揺蕩う」

揺蕩(たゆた)う日々はもう 果ての彼方


命は脳 縁 様


煌く火はもう来ない されど出る陽は陽炎


瞬間は愛 舞 未


殻を翔け 宙を飛び 我はまた空に戻る


あんなに黄身を好きになることはもうない



揺蕩う日々はああ 記憶の淵


俺は嘆く 儚い夢よ 去らんぜよ


逆立波はもう来ない けれど逸る気は本望


今はそう ここに居る


ずっと傍に居てと せがむ君はもう居ない


こんなに忘れられぬひとは 事なき琴想う



揺蕩う時はもう短し


今が真琴か弦実か


ゆっくりゆっくりと歩んでみよう


歩幅が背中を越してゆく


黄昏がぼくの眼鏡をセピアに染める


ほんとに綺麗な色を取り戻す



嗚呼 母なる 乳よ 魔法の粥よ

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