第13話 人生は「祭」 生活は「祝」

離れていく どんどん舟が波に流され 離れていく


放したくない もう 君だけは


話せない……言葉がもどかしくて、うまく話せない。


あの言葉さえも言えない。


離れていく 蒸気船がゆっくりと 桟橋デスクから遠避かっていく


鉛筆も消しゴムもない 定規もない パソコンも……


君はもういない


放したくなかった


でも君は離れていった




……人事異動で仕事のできる彼女が隣の課へ異動してしまった時の挨拶……


「えー 人生は祭り 生活は祝 以上です」


「あの娘は若いのにわかってるな」課長は黙って頷く


……課長も左遷で流されていく……。

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