第10話 妻用事

私は監督。妻は女優。


冷たい空気と冷たい雨が降り注ぐ窓の外を眺めながら、ビショビショになった髪の雫をそっと丁寧にタオルで拭き取る…


女優は気品高き演技と絶妙な仕草や魔で視聴者を魅了させる。


シーンとシーンが完璧なまでの間で紡がれていく。



「はい、カット」一旦、休憩します!



女優は納得していない。どんどん演技がエスカレートして行く。下降専用エスカレーターに乗って自動的に下品になって行く。


遂にワインを飲む撮影シーンで女優はいくところまでイってしまった。


崩れていく……どんどん、止めどもなく崩れていく……



「はい、カット………やっぱり、そのまま回します……」



女優は服の袖とスカートの足元をめくり上げ縛り込んで、ドジョウすくいまで始めた。



「何か足りない ちょっとスタッ フー。爪楊枝持ってきて頂けませんか」



監督はひざまずき、大女優にシリコン型の妻用事を施した。

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