第2話 遅れ

「9:10発、点獄行き普通列車、現在、特急の遅れにより、19分程の、遅れ、となって、おります」


やけに点が多い駅員のアナウンスが耳に残る。


19分後、乗り場ホームで2列に並んでいる最後尾の人に続き遅れ気味に列車内へ乗り込む。


列車は普通列車なのに何故か車内では、物販販売のワゴンを押した販売員が通り過ぎる。僕はその女性販売員を振り返って遅れ気味で呼び止める。


「…あの…アイスクリーム1つ下さい」


「__はい」遅れて返事が来る。


暫くして後ろの方から女性販売員が大きな声かけをしながらアイスクリームを配る。「前の席の方へ順次先送りして下さい」とお願いしている。でも僕よりあとに頼んだ人が先にアイスクリームを食べたりしている。僕の席にアイスが届いた時、それは完全に溶けている。遅れて「空っぽのコーン」を販売員は僕に手渡す。「味は何にしますか?」




目的の駅に着きホームへ降りる。地下改札口へと続くエスカレーターに乗ろうとする。


ワンテンポずつ遅れてうまくタイミングが取れない。遅れて乗ることができない。


普通列車は未だホームに停まったまま。アナウンスが流れる。


「遅れにより、   、、   、、、」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る