今日も裏方は眠れない

ぽてさら

第1話 異世界転移

 ここ、レヌヴ共和国は空前絶後の財政難に陥っていた。ほんの30年前までは世界の中心を担う一国であったが、西暦3098年に起こった未曾有の金融危機によって、あちこちにスラム街が広がる発展途上国になってしまった。

 まだ幼い子供から、普通ならば定年退職しているような高齢者たちが働きに出ているような世の中だった。働いている者たちは皆、暗い表情で、まともな休みも無く疲れはてていた。

 ハーフエルフのユーリもまた、幼き頃から働きに出ている1人だった。14歳になった今、ユーリは倒産寸前の警備会社に勤めていた。警備会社といっても裏方の仕事が多く、事務的な仕事をこなしていた。休日というものは無く、充分な睡眠と食事も取れず、社内に寝泊まりしていた。

 今日もユーリは午後11時に差し掛かろうかという時刻でも当たり前のように仕事をしていた。もちろん残業代は出ない。そして、二時間程仕事を続けた後、いつもの通り自分の机に突っ伏して少ない睡眠を取ろうとしていた。


(この国はこれからどうなるんだろう・・・、その前に僕のこれからどうすればいいんだろう、何も見えないな・・・。)


そんなことを考えながらユーリの意識は落ちていった。


 夢を見た。

 夢の中で僕はベルトコンベアの上に乗っていた。コンベアは果てしなく伸びていて、先の方はどうなっているのかわからない。いつからか、隣に反対向きのコンベアが出来ていた。遠い先から何かがこちらに向かってくる。だんだんぼんやりとだが、見えてきた。

(・・・人間かな?なにやらしっかりとしたスーツを着ている。肩を大きく上下させて、なんだか息苦しそうだ。しかし、とてもふくよかな体型だな、僕もいつかあんな風にになれるくらい豊かになりたいな。)

そんなことを考えている内に、互いは手の届くくらいの距離まで近づいていた。軽く会釈をしつつ、その人物とすれ違った。すると、その時、二人の頭の中でパチッと火花が散るような音がした。次の瞬間には隣の人物はいなくなっていた。


 少しずつ、ユーリの意識は覚醒していった。そこは、とても明るい場所で眩しささえも覚えた。まだ夢の中にいると思いながら、体を起こした。そして、次の瞬間、ユーリは驚愕した。あまりにもリアルに出来ている。試しに体のあちこちを触ったたりつねってみたりしたけども、感覚はしっかりとある。

 ユーリがいた場所は、とても綺麗に整頓されていて、清潔感のある場所だった。壁は白を基調とし、最低限の長机とパイプ椅子が置いてあることから、ユーリはどこかのオフィスの会議室だろうと推測した。

 ユーリは自分が置かれている状況が全く掴めずにいた。どこかのマフィアが拉致したのか?ついに警備会社からリストラされるか?なんにせよ、今の状況が良い状況とは思えない。

 少し靄のかかった頭でそんなことを考えていると、外からなにやら声が聞こえてきた。


「なに寝てんのよ!いっつもいっつもサボってるんじゃないわよ!」

 

 ユーリはさらに困惑した。予想外すぎる外からの少女の発言にユーリは頭を抱えた。


「あんたはまだまだ仕事があるでしょうが!さっさと仕事をやりなさい!」


 最悪だ。これ以上仕事を増やされてはさすがに体が持たない。そう絶望した瞬間、扉が開かれた。


「全く、あんたはいつもそうやって私たちに迷惑を・・・ってあれ?」


 物理的に頭を抱えていたユーリとその少女の目が合った。どういう状況を考えた服装だろうか、フリルが多くあしらわれていて、とても可愛らしい服だった。女性・・・というか、そこにいる女の子も顔はとても整っており、とてもいい顔色をしていた。

 

そんなことはどうでもいい。

これはどういう状況だ?





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

あとがきです。

このお話が処女作です。

日本語的、国語的におかしい箇所があれば遠慮せずにコメントでご指摘下さい。その優しさが私の糧になります。

ここまで読んで下さり、ありがとうございました。

続きもできるだけ早めに書いていく所存です。

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今日も裏方は眠れない ぽてさら @tokimunehojo1023

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