第50話

 無事に退院することができて嬉しい。


青々とした空。日差しが眩しい。


坂井先生からの「おめでとう」のメッセージが来て、ちょっぴり嬉しくなってしまったところだった。


医者として、患者を心配してくれているというのは理解しているんだけど、実際にメッセージがくると嬉しいものだ。


「柚、お寿司やさん行こうか」


「行きたい!」


 今日は家族で水入らずの時間を送る予定。


妹は、今日は実家に帰ってきてくれていて、一緒に退院の手伝いをしてくれた。


お母さんも私のために仕事を休んでくれた。


私なんかの為に時間作ってくれて嬉しい。


「お寿司やさん、予約しておいてからね」


「ええ!なんという嬉しさ。ありがとう」


 店内に入ると何組か待っている人がいた。予約をしてくれたおかげですんなり入ることができた。


「何頼もうかな」


「好きなもの食べなさい」


「わーい」


 脂ののった艶々の中トロ。大きくてプリプリした南蛮エビ。高級なノドグロ。大好きなサーモン。


ずっと、病院のご飯だったから、お寿司なんて、久しぶりで、たまらなかった。


お寿司って飽きない。美味しすぎる。


笑顔が自然に出てしまった。



 その日の夜、坂井先生からメッセージが来た。


「今度カフェ行きませんか? 柚さんが行ってみたいって言ってたところ」


「覚えててくれたんですか! 是非行きたいです」


「じゃ、行こう。来週の土曜日は空いてますか?」


「空いてます」


 なんと坂井先生からのお誘いがきた。これは行くしかない。早く来週の土曜日にならないかな。


楽しみが一つ増えた。

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