死闘遊戯
義勇軍を結成しようと乗り込んだ獣人自治区。
そこに待っていたライガと交戦する羽目になった俺は、ヤツの馬鹿力で
上等じゃねぇかっ!
俺とライガの戦いは死闘の様子を
◇◇
「そろそろお互い本気って事か?」
ライガはグルグルッ、と機嫌よく肩に大太刀を
「四の五の言ってる暇があるんなら掛かって来いよ。串刺しにしてやるよ」静かに見返す。
「あ、言っとくが魔王はナシだぜ。アレは反則だからな、わかってるよな?」
『カグラ』で戦った際、
「あんなもん出さなくてもてめぇなんか一撃だよ」
「よく言ったっ! それでこそ武人だ」ホクホク笑いながら
楽しくて仕方がないようだ。
命のやり取りになっているってぇのに、全く厄介なヤツだ。
「ビビってんなら行くぞ」
『亀――
足元から
ライガの胸元までカメラがズームする様に大写しになると、足元の地面が
「フンッ!」
胸元
ガチンッ、と火花が飛びライガの大太刀が吹き飛ばされる。
胸元もザックリ
「シッ!」休む間も与えず、振り下ろした剣を
キンッと
「
「降参するなら今のうちだぜぇ?!」
フフンッと得意げに笑うと、大太刀を頭上高く
こちらの攻撃が通らないと踏んで防御を捨てた。
攻撃に特化するつもりらしい。
チッ、と思わず舌打ちする。
全く
両手をダラリとたらしチョン、とその場でジャンプして見せる。ただの誘いだ。テンポを変えたい。
コチラの力だけではヤツの
サッと腰を下すのに合わせたようにライガが天高く掲げた剣が振り下ろされて来た。
ブォッ、と風切り音と共に
これを
だが、その剣は以前のような力任せの剣ではなくなっていた。
振り下ろした剣先がピタリ、と止まるとコチラの仕掛けを待つようにジリジリと距離を詰めて来る。
ずらされた?! カウンターをとりにいくつもりが見られている――。
剣も格闘技も
今は完全にライガの間合いに持ち込まれていた。
「師匠っ、相手に付き合う必要は無いっすよっ。距離を
わかってる――。
ライガを
「ガァッ!」
ドォンッ、とライガが
フェイントもいらない誘い技だ。釣られて手を出せば俺の胴体は上半身と下半身が泣き別れになる。
冷や汗がツゥ、と
ふぅ、と息を吐き腰を
と、腰を落とし切る前にライガが
剣先が斜めに伸び上がって来た。
ここまで伸びる剣先には次に仕掛けを準備してあるものだ。
「フンッ!」
ミスリルの剣を振り上げると、ガチーーンッと上からはたき落とした。そのまま引き戻される剣に合わせて踏み込む。
「おっりゃっ!」首筋
「ヌッ?!」
上体をトラ族独特の柔らかさで反り返って、俺の剣先を
突き出された刃先を、左手のバックラーで押しのけ沈み込んだ。
今っ! 目の前にはガラ空きの胴体がある。
このまま突き立ててやりたいところだが、『金剛力』を発揮しているヤツの胴には通るまい。
ならば――。
「フゥンンッ!」
闘気を剣先に流し込む。
ミスリルの剣がビィーーーンッ、と剣先が細かく振動を始めた。
「シッ!」
左後ろ足のつま先まで闘気を流し込むと、
力を
バァンッ、と破裂する音がしてライガが吹き飛んだ。ドォンッと、派手な音と
「グォォッ……」
苦痛に顔を
目だけは
「どうした? もう終わりか?」
「ふ、フフフッ。だぁれが終わりと言った? これからが楽しいところじゃねぇか?」
「その割に結構
「余計なお
あーあ。
ガキのケンカかよ。
「だが……。そろそろ準備も出来たようだし、てめぇの顔も見飽きたしなぁ」そう
「助けを呼ぶんなら、ソイツは無理ってもんだ。おまえに味方する獣人はいねぇよ」
「そりぁ……どうかな? 野郎どもっ、そろそろ行くぞっ」塀に向かって大声を張り上げると、中から馬車が飛び出して来る。一輌、二輌、……五輌。
「なっ?!」
馬車の後ろから鞍を積んだ空馬にヒラリと飛び乗った。
「勝負はお
ヤツも兵を
やはり俺が領主でなくなった事で獣人の信頼も無くしてしまったのだろうか?
その
唇を
獣王と呼ばれ思い上がっていたのか? 俺は……?!
半年も間が空けば、心変わりをされてもおかしくないか? 全く――全くおマヌケ様だ。
「師匠……。と、ともかく中へ入ってみましょう」
よほど怖い顔をしていたのだろう。
恐る恐る――と言った
「ん? んん。だな……」
「コウヤ様。大丈夫?」
いつの間にかナナミも側に寄って来ている。
「なぁにっ、怪我一つありゃしねぇよ。それより中の連中が心配だ。後続の連中に連絡取っておいてくれ」
風の民の一人が
領主をクビになってから獣人自治区の支援が途絶えたはず――と食糧とポーションを送ってもらっていた。
こちらの安全を確認してから呼び寄せるつもりで、中継地で
飢えているのではないか? 子供もいた筈だ。それは今頃……?
不安を抱えたまま門をくぐると、思わず息を飲んだ。
「おい……?!」
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