第8話 特性


マイクルは、一つ大事な質問をする。


「君は、その子のことを信頼しているかい?」


少女は、満面の笑みで答えた。


「もっちろんです‼」


マイクルは、少女の笑顔につられて笑った。


「ははっ‼なら、その子の事も検討しておくよ」



   ★


「………ってことがあってね。いや~、あの時はビックリしたよ」

「ほら、着いたよ」と言って、部屋のドアを開ける。

そこには、12人は座れそうな長テーブルが4つ、1つの大きな長方形を作っていた。

その上には、水晶のように見えなくもない"何か"が置いてあった。

他には、フラスコに見えなくもない物や、怪しげな本が置いてあった。

机の上は、少し散らばっている。

対して、床は埃1つ無いほど綺麗だった。


「あぁ………響弥きょうや君、その水晶に触れてみてくれないか?」


………出来れば、あんな得体の知れない物に触れたくはない。


「得体の知れない物に触れたくないのは解るんだが、水晶それは触れた人の魔法の性質や特性なんかを調べる為なんだ」


「わ………分かりました」


「なんだかね~、ようちゃんは凄くノリノリでやってたんだよ」


あぁ~、アイツ確かにこういうの好きだ。

キャッキャウフフしながら、こんな事をやってるようを目に浮かばせながら水晶にてをかざす。

瞬間、僕は見事に目を疑った。


………………僕の手が、水晶を、貫通してる………………

ん?

………貫通してる?

うん、貫通してる。

ん!?


「はあぁぁぁぁぁぁぁああ!??!」


手が、てが!!!!


そんな叫び声が、部屋中に響き渡った。


「かんっかんかつうつっつ!!!!」


手をバンバンする………が、音はしない。

僕のそんな慌てっぷりをよそに、マイクルさんは口を開いた。


「これは………響弥きょうや君、君は凄い性質を持っているようだ」


「どうでもいいですよ!!そんな事!!!!これどうにかして!!!!」


理性が吹っ飛んだ僕を、ほったらかしにして話を進める。


風の性質君の体質だよ。私の性質いや、属性はk……っと、まだ秘密にしとこうか」


それ、いかにもな奴だから!!!

理性を、吹っ飛ばしながらも考える。

ん?考えれてる。

もしかして、理性戻ってきてる?

僕って、もしかしなくても冷静な人?とか考えていると、


響弥きょうや君、手は痛くないかい?」


あぁ、手がまだ貫通してる。でも


「ちっとも痛くないですよ。全然大丈夫です。どうなってるんですかね?」


チラッと手の方を見ると、まだ透けてる。


「本当かい!?…………あの予言は本当だったのか…………」


後半は、小さい声ではあったけどギリギリ聞き取れてしまった。

………………予言?どう言う事だ?

後でゆっくり休んでから、考えよう。


響弥きょうや君、落ち着いているみたいだが驚かないで聞いてほしい」


「君は、多分………………」


マイクルさんは、少しだけ真剣な顔つきになって言った。


「……………魔法を覚えるまで、小物や人・他、ある程度の小さい物体は、"触れられない"。」


「はい?」


ある程度の事は、覚悟していた。

それこそ、"死ぬんじゃないか?"とか、"この先、人と会っちゃいけない"とか。

それが……………

見事に………………

予想の斜め左下に行った。WOW。


「っれってどっ言う「事なの!?」


いつの間にか居たようが、食い気味みに聞き返した。


「いやお前、いつから……………」


「『本当かい!?』辺りから」


「あんまり聞いてないんだね」と言うと、マイクルさんが、「もういいかい?」と一言。


「「どうぞ」」


見事にうまく、ハモってしまった。


マイクルさんは、「君たちは本当に仲が良いね」と、少し笑ってから説明しだす。


響弥きょうや君、さっきも言った通り君は、風の性質を持っている」


「そのせいで、"物に触れない"と…………」


「その通り。風の力が強過ぎると、"自分自身が風になってしまうんだ"」


それまで魔法を覚えるまでの間、どう過ごせばいいですか?」


「あぁ~、古ぼけた図書館を持っている友人が居るから、譲ってもらえるかどうか聞いてみるよ」


口があんぐり開いて戻らない。

規模が違う。流石、貴族。

すげぇ~。

…………はっ!じゃなくて!


「い、いや、いいです。僕の為にそこまでしててくれなくても…………」


すると、後ろから女性の声が喋った。


「いいのよ?マイクルさんはいつもあんな感じなんだから」


「えっと…………」


背中の中間辺りまで伸びたクリーム色の髪、女性にしては高い背丈、俗に言う"ボンキュッボン"な体、

とても綺麗で、ゲームなんかによく出てくる"エルフのお姉さん"みたいな人だ。

…………けど、この人、誰?

と、僕が戸惑っていると、


「"はじめまして"で合ってるかしら?」


「は!はい‼」


と、返事をすると、「そんなに強張らなくていいのよ?」と言う。


「それじゃ、改めて"はじめまして"。私はマリア・ローガンド・ウィスプ。マリアさんって気軽に呼んでくれたら嬉しいわ」


「わ、解りました、マリアさん。マイクルさんって、いつもあんなんなんですか?………見た感じのイメージ像とかなり違うんですが………」


「さっきも言ったけど、あれが普段の感じなんだけど、今日はいつもよりちょっとだけテンションが高いわ。…………まぁ、理由はあなた達なんだけど」


「なんで僕達なんですか?」


「跡取りを探してたのよ。でもいい感じ自分と同じ位の強さの人がいないし、人が来てもマイクルさんが出てきたら、緊張して皆帰っちゃって跡取りが、見つからなかったの」


跡取りに来た人が皆帰るなんて、かなり特別な何かの使い手だったりするのか、気になった。


「マイクルさんってそんなに有名なんですか?」


「えぇ、"かなり"ね。何たって、伊達にローガンドこの街の名前を名乗っている訳じゃないのよ?この街じゃ、いや、この世界でも片手に入る位には強いわよ?」


その言葉を疑った。

"この世界"で片手に入る?

めっさ強いじゃねーか!!

ただの小太りな貴族じゃなかった!!!

おい、よう!お前後ろで


「っそでしょ!!!じ、じゃ、マリアさんも強いんですか?」


とか、驚いてる。

いや、知らんかったんかい。

でも、確かに気になる。

マイクルさんが強いのであれば………この人も相当……。


「じゃぁ、マリアさんも強いんですか?」


「さぁ?どうでしょ?」


あ……これ絶対強い。

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