ド天然メイドのゆるふわ戦記
瑞音
第1話プロローグ
西暦2023年 11月26日 日本
「明日の課題忘れた人は放課後残りな」
先生が昨日言った言葉が頭の中に残っていた。いつもなら大好きな国語の課題はあっという間に終わらせてしまうが、体育の時間にはしゃぎだしてしまい疲れ切った昨日の私は課題に手を付けないまま寝てしまった。
毎日同じ時間に目覚ましをセットしていたので、寝坊しないでいつもの電車に乗れたが、課題が頭の中からはなれなかった。流石に電車の中では課題はできない。
駅に着くと急いで改札口を通り、信号が青になった横断歩道を渡った。
——はずだった。
あっ。私、轢かれたんだ。ナンバープレートなんていつも見上げないのに、今日は何故か見上げられた。数字ってこんなんだったっけ? いつもの数字が何故か横むきになっていた。
統合歴3012年 ???
ここはどこ?
「マリー? マリー? マリー聞いてるの?」
「あっ! はい!」
顔を上げるととても綺麗な女の人が目の前にいた。思わず綺麗と口にしてしまいそうな程。
「私はここでメイド長をしてます、エリカです。これからもよろしくね」
「よろしくお願いします」
メイド長? もしかして、私メイドになるの?
「じぁあ、早速準備をしましょう」
話が読めないままエリカさんの後ろをついてゆく。
エリカさんは、おとぎ話に出てきそうなメイド服を着ている。黒の長袖ロングワンピースに白のエプロン。フリルは無く、とてもシンプルなデザイン。
建物はヨーロッパに似ていた。海外のように靴を履いたまま部屋に入る。
「それにしてもマリーは変な服装をしているのね」
私の今の服装はセーラー服。高校の制服。
夢でも見ているのでは?と思って頬を引っ張ってみると痛かった。
「まあいいわ、これに着替えて。見た感じ他の洋服とか持ってなさそうだし、私が全て準備しとくわ」
渡されたのはエリカさんと一緒のメイド服。着替え終え、鏡の前に立つと地味に似合っている私が居た。
「それじゃあ、これから説明していくからね」
「はい!お願いします」
私は確か事故で死んだはずなのに生きていて、ここはどこかも分からないし、なぜ私がメイドになるのかも分からない。
これが最近流行りの転生? ゲームの世界に行くとか、チート持ちとして冒険に出るとかでなく、なぜにメイド? 私、メイドの経験なんてないし。
こうなったら楽しんでみよう!
なんて気持ちは一瞬で消えてった。
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