第125話 大魔王トーナメント。

 大魔王トーナメントは100年に一度開かれる大会。



 魔王キャッツさまに聞いた話だけど。



 この世界では魔力を持つ者はその高貴な力をもって社会に貢献する義務を負う。


 その誇り、が、この世界を平和に保つ原動力になっている。


 もちろん国家同士の争いとかが全く無いわけじゃ無い。


 でも、そこでおきる紛争解決手段に殺し合いは無い。


 お互いに納得できる試合で決める。


 そういった国際ルール。それが現在の国家全てで適用された結果、世界から戦争は消えた。


 百年に一度各国の魔王が闘う大魔王トーナメント。そこで優勝した者を大魔王とし平和の象徴として尊び、そして誓うノブレスオブリージュ。


 其れこそが、この世界の柱。


 平和の象徴なのだという。



 つまり、大魔王さまっていうのは権力を持つわけじゃないのね。


 あくまで平和の象徴として在る存在だということだ。



 そして。そのトーナメントの前哨戦として各地域で予選みたいなことをするっぽい。


 このノースサイド地域でも加盟十ヶ国で持ち回りで歓待会を行い、そこで各国の代表による魔王トーナメントの前哨戦も執り行われるという。


 今回はランクルサードという国にあつまるそうなんだけど。


 ——ランクルサードって、姉さんが見たもう一箇所じゃない?


 ——うん。勇者が来たところだよね。



「その魔王トーナメントにあたし出てもいいんです?」


「ええ。一応その国の魔王かその関係者が代表になる事にはなってるんですけど、魔王が病気の時は代理を立てても平気です」


「あたし、優勝しちゃうかもだよ?」


「真皇の御使いが大魔王さまになってくれれば皆も喜ぶし」


「うー。あんまりほかの世界の者がしゃしゃり出るのはどうかと思うけど……」


「あは。ミーシャちゃん、そんなに硬く考えなくても大丈夫。お祭りなんだから楽しんでくれればいいの。優勝しちゃっても辞めても大丈夫」


 ちょっと破顔してキャッツさま。


「それに、うちの国民の気持ちとかだったらほんと気にしなくても大丈夫。ミーシャちゃんを代表として送り込むってあたいが宣言したらそれに反対するような人いないから。気の良い人ばっかりだからさ」


 あはあ、と、笑みをこぼしてそういう魔王キャッツさまの言葉に少し気が楽になったかな。


 獣人族の人はほんと根が正直でスッキリした人がおおいから。


 確かに裏でぐちぐち言われたりはしなさそう。



 それに。



 この国の人は根本的に強い人に惹かれる感じ。


 そんな気風っぽいよね。



 だったら、頑張って暴れてみようかな。


 ちょっとは強いところ見せとかないと申し訳ないよね。



 少なくとも予選は優勝しちゃうおう。


 それくらいはしてもいいよね?

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