第118話 青い鎧の男。
「真皇様は先日ここで魔王さまと異世界の勇者が戦っているところをお見かけして、心配なさっていました」
「おお、それもご存知か!」
「神の世界からこの世界のことをちゃんと注視しているのですよ」
おー。あたしよりもこういうの向いてるねデューク。ちょっと概要話しただけなのにしっかり理解してるし。
——こうして繋がってるとね、時々イメージが落ちてくるんだよ
え? それは初耳。っていうかあたしそんなイメージ垂れ流してる?
——きっと、俺の身体の中にも姉さんのカケラがあるせいかもね。
デュークはぎゅっとあたしの手を握っててくれる。
あったかいし、なんだか安心するな……。
「ああ、もう、わかりました。あなた方が嘘をついていない事も、そして真皇様の寛大な御心も。これでも私には相手の嘘をある程度見抜くスキルがあるのです。こういう仕事をする上では必須なので」
「わかって貰えましたか。それは良かった」
「しかし、それで、私は何をおはなしすれば良いのでしょう」
「では、先だっての経緯を。順を追っておはなし頂けますか?」
レックスギルド長は一旦天を仰ぐように上を向いてから、こちらを見て。
ゆっくりと語り出した。
☆☆
あれは、まだ真昼間。日が高い時間だったな。
ふつうだったらギルド所属の面々も稼ぎに精を出してる時間帯だ。
この辺りに人出は少なかった。
そんな時だった。
一風変わった人間が現れたのは。
見るからに人間種のくせに妙で。青いブレストアーマーに青いカブト。炎の様な模様が浮き上がってけっこう上等そうな装備だった。
ふらっとその扉を開けて入ってきた奴は、
「ここで冒険者登録はできるのか?」
と、聞いたのさ。
どこの国から来たのかもどんな実力が有るのかもわからない様な人間、このギルドのメンバーにするわけにもいかなくてな。
「うちじゃ身元がわからない人間は雇えないんだ。悪いな。紹介状でもあるなら別だけどな」
そう答えたわけよ。
「ああ。冒険者って概念も無いのか。田舎の世界はこれだから」
ってやつがそう吐き捨てる様に呟いて。
そこでいつも酒飲んでくだ巻いてる常連のギルメンが突っかかって行ったってわけさ。
「おいおい、にーちゃん、田舎ってどういう事だ?」
ってな。
ここでくだ巻いてる常連ってのは、まあベテランで稼ぎも十分あって普段はここの用心棒みたいな事をしてくれてる奴らでね。
見た目はああだが実力は確かなんだがな。
奴は、どうも、いけねえ。
見に纏うオーラが人間種ではあり得ない程に大きかった。あれば、魔人族以上だったな……。
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