第68話 リトライ。
一回目のトライは結局失敗だった。
根本的に攻撃力が足りない。
二回、三回と続けるうちにレイアがキレた。
「ねー。わたしも攻撃しちゃダメ?」
そう怒り顔で直訴する。
まあこれだけ時間ばっかりかかると疲れるししょうがないか。
レイチェルもちょっと折れる。
「じゃぁ授業でやったファイアボールとアイスランスだけね。後方支援しながらの援護射撃でおねがい。でも、絶対仲間に当てちゃだめよ? 当たったら大変なことになるんだから」
そう念押しするんだけどね。
実際レイアの魔法はどれも威力が強すぎて、もし味方に当たると大惨事になりそうで。
加減やコントロールができるようになるまで連携は危険って判断だったんだけどね。
あたしだって、さすがに他の人が死んじゃった後に復活させるなんて真似、魔・ギア無しには無理だしね?
え?
さすがに引く?
だってしょうがないじゃない。出来ちゃったんだもの。
まあ、あたしの魔力の大半は必要だから、そんなぽいぽいできるわけじゃないけどね?
あたし自身の場合はどちらかといったらインナースペースが無事なら何とかなるって感じなんだけど、普通の人は身体が死んだら心も同時に死ぬからね? ほんとぽいぽい復活なんてできないの。しょうがないんだよ?
そんな感じでリトライ。
今度はわりといい感じ、って、ファイアボールがコーラスの右手掠ってる!
あうあう。
レイチェルが修復魔法飛ばして事なきを得たけど剣が一個消えてるよ。
ああ、もう戦力半減、おまけにレイアの魔法、躱されて当たってないじゃん。
もうだめだめだよ。
そんな感じでリトライが続く。
九回目が失敗したところで。
「もう。さすがに練習はここまでかな。みんなずいぶん疲れてるし。次はワタシも攻撃に参加するからね」
と、レイチェル。
バテまくった三人からは異論が出るわけもなく。
十分の休憩後、再度トライすることになったのだった。
まあこれで終われそう?
生徒を鍛えられてレイアの訓練にもなるって意味合いのトライ。レイチェルにしてみればここまでは授業の一環だったのかもだけどそれもいい加減終わりにしましょうな雰囲気で始まった十回戦目。
門扉をあっさりクリアしたところで異変があった。
今まで真っ赤だった魔法陣の色が黒光している?
あ、まさかこれ。
魔法陣から現れたその姿。それはそれまでのサーペントギガンティアでは無く竜。
それも魔竜、黒竜ブラドのそれだった。
Gaoooooooonnnn——‼︎
現れるなり耳が引き裂かれるかと思われる大音量の雄叫びをあげるブラド。
って、なんで魔竜?
まさかTRAPにレアが仕込まれてた?
って、なんて性格悪いの! これ考えた人!
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