第59話 猫耳レイア。

 次元断層フィールドを解除するとものすごい勢いで周囲の空気が上空に吸い込まれ、上昇気流が発生した。


 校庭の砂が巻き上げられ砂塵が舞う。


 しばらくその中心で我慢してるとやがてその砂嵐が収まり視界が開けてきた。



 まああたしの周囲だけはちゃんとフィールド張って無事なんだけどね?



 全てが終わり周囲を眺めてみると呆然とこちらを見て立ち尽くす生徒達の中から一人走って近づいてくる姿が見えた。



 あ、まずい?



「ラギレース!」


 そう叫ぶと彼女はあたしに飛びついて抱きしめる。


「あは。やっぱりラギレスだ! かわいい耳としっぽがついてるけど間違い無いよ!」


 そう力任せに抱きしめて頬擦りするレイチェル。


「もう! いい加減にしてレイチェル! 鬱陶しい!」


「ほら、ラギレスだ、間違いなくラギレスだ! 嬉しい帰ってきたんだね!」



 その頬には涙が溢れてきて、あたしの頬にまで伝わる。


 ちょっとしょっぱくて。でも、甘酸っぱいきもちで満たされた。


 ごめんねレイチェル。そして。


 ただいま。



「レイチェル。ごめん。ただいま……」


「ううん。いいの。おかえりラギレス。ほんと嬉しい……」



 あたしも、そっとレイチェルの身体に両手をまわし。


 そして。


 優しく抱きしめた。




 ☆☆☆




 流石に生徒さん大勢の前で抱き合ってなんて恥ずかしい真似を、って思ったけど。


 一応生徒を心配した先生が駆けつけて。


 無事だった生徒を抱きしめた。


 生徒の方も怖くてどうしようもなかったところ、先生に抱きしめてもらったのに安心して。



 みたいな話でおさめたっぽい。



 まあ傍目にみたらそんな感じ?




 あたしに猫耳が生えてるのを見て、っていうかレイアに猫耳、だよね?


 コーラスとかは訝しんでたけどあれは後ね。



 午前中の授業がちょうど終わりの時間になったのでみんな解散になって、あたしはレイチェルに連れられレイチェル用の個室に連れていかれた。


 ちゃんと説明して、って、そんな無言の圧力のまま手を引かれて。


 うう、ちょっとふにゃぁだよね?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る